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たった1時間の「オフライン」で、集中力は高められる!

2017年02月16日 公開
2023年05月16日 更新

西多昌規(精神科医/医学博士)

1日に1時間の「脱・スマホ」を

いざ勉強をはじめようというとき、すぐに集中できないという悩みもあるでしょう。スマホという究極の暇つぶし・現実逃避グッズが普及して以来、「すぐにやる」のはかなり困難になっています。スマホ依存度については自己診断(※記事の最後に掲載)してみていただきたいのですが、現代人のほとんどは程度の差こそあれ、モバイルツールに依存しているといえるでしょう。解決策としては、勉強をするときだけはスマホの電源を切るしかないと思います。

勉強中に音楽を聴く程度なら、集中力には悪影響はありません。これに対して、スマホでSNSをチェックしたり、着信やLINEの通知を気にしたりしながら勉強すると、明らかに集中力が低下し、思考力も鈍ることがわかっています。

また、集中して勉強するときには脳の海馬(記憶を司る部位)が働くのに対して、「ながら勉強」だと線条体という別の部位が働いてしまい、集中力や注意力が浪費される、という研究もあります。

コンディションによるとはいえ、集中して勉強できるのはせいぜい一日に一時間程度。簡単なことではないかもしれませんが、集中するときはオフラインにすることを目指してください。

 

日頃の「睡眠」に無自覚の問題があるかも

勉強をはじめてしばらく経って、気が散り始めたときは、無理をせず休憩をとりましょう。
休憩で避けたいのは、座ったままスマホを見たり、PCでネットを閲覧したり、といったこと。近年、「セデンタリー(座りっぱなし)」生活は深刻な健康被害を招くことが知られてきました。休憩の原則は、とりあえず席を離れて立ち歩く時間を作ること。これが集中力の回復にも役立ちます。

休憩時には、コーヒーやエナジードリンクを飲んでリフレッシュという人もいるでしょう。たしかに、カフェインを摂取すれば記憶力が上がるという研究はありますが、効果は微々たるものです。また、とくに中高年はカフェインで睡眠の質が悪化する傾向が強いので、夕方以降は避けるべき。コーヒーやエナジードリンクで気分を変えるのはいいでしょうが、あまり頼りすぎないことです。
結局のところ、集中力をもっとも左右するのは健康状態と体力です。生活習慣が乱れていたら集中力どころではありません。
なかなか集中できないという人で、日中に眠気を感じることが多いようなら、睡眠時無呼吸症候群でないかメディカルチェックを受けてみるのも手です。自覚できず潜在的に悩まされている人が多い病気です。

食生活や運動も大事です。平日は歩く機会を増やすこと、休日には少しでも「運動のための時間」をつくることを心がけましょう。たとえ週1回でも運動の効果はあることが立証されています。まずは散歩から始めて、慣れてきたらジョギングなど、好きな運動に発展させればいいでしょう。
健康という土台があってはじめて、集中力を高めるテクニックを活かせるということを忘れないで下さい。

 

 

☆スマホ依存度チェック!

スマホ依存になっていると、いつもスマホが気になり、集中力の妨げになっていることがある。下記の診断でセルフチェックしてみよう。

□自分でスマホ使用をコントロールできないと感じている
□スマホを使いすぎていると思う
□生の人間関係よりも、SNSやネットのほうを優先してしまう
□友人や家族からスマホの使いすぎを指摘された
□スマホがないとイライラする□ネットがつながらないところには旅行に行けない
□ネットやスマホをめぐって家族や親しい友人とケンカをした
□着信がないのにスマホが鳴った(震えた)と勘違いすることがしばしばある

→3つ以上あてはまる人は、「スマホ依存」かも! モバイルツールによって集中力を妨げられている可能性大。

 

《『THE21』2017年2月号より》

著者紹介

西多昌規(にしだ・まさき)

精神科医

1970年、石川県生まれ。96年、東京医科歯科大学卒業。国立精神神経医療研究センター、ハーバード大学研究員、自治医科大学講師などを経て、現在はスタンフォード大学客員講師。『「テンパらない」技術』(PHP文庫)ほか著書多数。

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