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星野リゾートの現場力(1)リゾナーレ八ヶ岳の「ワインリゾート」

2016年12月16日 公開

星野佳路(星野リゾート代表)

公私ともにワインづけの日々が楽しい

一般的な会社員にとっては、仕事と遊びとは切り離して考えるものだろう。しかし、日本を代表するリゾート運営企業・星野リゾートでは、現場スタッフが「遊び」や「楽しみ」の中に仕事のヒントを見つけ、企画につながっているケースや、逆に仕事の中に趣味を見出すケースがあるという。そこで、本連載では、そのような「遊びと仕事」の融合の事例を紹介し、代表の星野佳路氏からも解説していただく。第1回は、ワインリゾートと銘打っているリゾナーレ八ヶ岳より、「ワイン」が大好きなスタッフの取り組みについてうかがった。《取材・構成=前田はるみ》

 

ソムリエ資格を取るほどホテル随一のワイン好き

山梨・長野の県境に位置する「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」では、日本有数のワイン名醸地である地域の魅力を生かし、「日本初のワインリゾート」と銘打った取り組みを行っている。多数の地産ワインを楽しめるほか、ぶどうの搾りかすを使ったスパトリートメント、滞在中にソムリエセレクトのワインを自由に飲めるワインスイートルームなど、ワインの魅力を存分に味わえるサービスが売りだ。

小寺洋平氏は、イタリア料理を提供するメインダイニング「オットセッテ」のサービススタッフ。3年前に入社したが、次第に地産ワインの魅力に惹かれ、2年前にソムリエ資格を取得したほどのワイン好きである。

オットセッテでは今年、野菜だけを使った料理ひと皿ごとに山梨・長野のワインを合わせるコース料理「ヴィノ・エ・ヴェルデューラ」を始めた。通常はワインをボトルで注文するところ、このコース料理では料理に合ったワインを少量ずつ味わえるのが特長。小寺氏はゲストの好みを聞きながら、料理に合うワインを提案している。

「お客さまにはワイン好きの方もそうでない方もいらっしゃいますが、お勧めしたワインを喜んでいただけることが一番のやりがい。私共のリゾートでの滞在をきっかけに、日本のワインに興味を持っていただけたらうれしいです」

 

 

オフ時間を活用してワインの魅力を伝道する

地産ワインをゲストに知ってもらうには、まずはワインの知識を持つスタッフを増やす必要がある。そう考えた小寺氏は、みずからスタッフ向けのワイン講座やワイナリーツアーを企画し、社内の“ワイン好き”を増やそうと取り組んでいる。

「ワインがどのような環境でつくられているのかを実際に見たり、生産者の思いに触れたりすることで、より一層ワインを楽しむことができます。こうした実体験はお客さまへのサービスでも必ず生きるはずです」

ぶどうの収穫時には、自主的にワイナリーでの収穫作業を手伝うこともある。新規ワイナリーが開設したと聞けば、連絡を取って挨拶に訪れるようにしている。ワイナリーとの関係性を深めることで、「他では手に入らない地産ワインの新規取引につながることもある」と小寺氏。

こうした活動は、仕事として与えられたものではなく、すべてみずから取り組んでいることだ。プライベートな時間を使ってまで取り組む情熱は、どこからくるのだろうか。

「ワインが好きだからしょうがないです(笑)。自分が好きな山梨や長野のワインを、この土地を訪れたお客さまに、生産者の思いごと知ってもらいたい。それがこの土地でしか体験できない旅の醍醐味だと思います」

いずれゲスト向けのワイナリーツアーも企画したいと考えている。

 

星野佳路氏の視点――『こだわり』を提供することこそ、リゾート運営の醍醐味 >

iyashi

著者紹介

星野佳路(ほしの・よしはる)

星野リゾート代表

1960年、長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。日本航空開発(現・JALホテルズ)に入社。シカゴにて2年間、新ホテルの開発業務に携わる。89年に帰国後、家業である㈱星野温泉に副社長として入社するも、6カ月で退職。シティバンクに転職し、リゾート企業の債権回収業務に携わったのち、91年、ふたたび㈱星野温泉(現・星野リゾート)へ入社、代表取締役社長に就任。

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