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星野リゾートの現場力(9)リゾナーレ熱海の「森の空中基地くすくす」

2017年02月12日 公開

星野佳路(星野リゾート代表)

地域のイメージをも変え、新しい顧客を獲得

日本を代表するリゾート運営会社・星野リゾートでは、「遊び」や「楽しみ」の中に仕事のヒントを見つけたり、逆に仕事をきっかけとした趣味を楽しんだりしている社員が多いという。本連載では、そのような「遊びと仕事」の融合の事例を、代表の星野佳路氏のコメントと共に紹介。第9回は、「リゾナーレ熱海」から、熱海のイメージを大きく変え、ファミリー層や女性客を呼び寄せた戦略についてリポート。《取材・構成=前田はるみ

 

「会社帰りの女子会」という新たな切り口

熱海の海と町並みを一望できる高台に立つ「星野リゾート リゾナーレ熱海」。この春、このホテルが打ち出した女子会プランが話題となった。その名も「今日は定時で帰りますプラン」(期間限定)。東京から新幹線で50分という地の利を生かし、会社帰りに熱海まで足を伸ばしてもらおうと、都内の20代~30代女性をターゲットに企画された。

仕掛け人は、このホテルで働く入社6年目の栗原幸英氏。「熱海再発見」をテーマに、さまざまなアクティビティの企画立案を担当している。「かつては団体旅行のメッカだった熱海のイメージを変え、若い女性にも熱海の魅力を知ってもらいたいと思い企画しました」と話す。

企画の目玉は、熱海市内の老舗ケーキ屋や人気焼き菓子店と共同開発したオリジナルデザートプレートと、ツリーハウスで楽しむ夜のピクニックだ。熱海といえば「海」のイメージが強いが、ホテル周辺には豊かな森が広がり、隣接する敷地内にはツリーハウスや樹上アスレチックを有する森の空中基地「くすくす」がある。

「熱海の『森』も、熱海再発見の魅力の一つだと思います。ツリーハウスでの女子会を通して、熱海の自然の豊かさも体感してもらい、『熱海って意外と素敵だね』と思ってもらえるきっかけを作れればと思いました」

 

自ら発見した熱海の魅力をゲストにも伝えたい

大学で観光学を学んだ栗原氏は、観光を通じた地域活性化に興味を持ち、星野リゾートに入社。リゾナーレ熱海に異動した2年前までは、熱海について「寂れた町なのでは」という印象だったが、実際に住んでみると、町が意外に賑わっていることに驚いたという。

「地元の若手が中心となって熱海を盛り上げようとしていることを知りました。彼らの熱意が周りを巻き込み、活動が広がって熱海が再注目されている。この流れを、観光産業の一員として応援したいと思いました」

休日には、熱海のまちづくり団体が主催するマルシェの運営をボランティアで手伝っている。「地元の人と交流することで、『熱海にはこんな素敵な人やモノがあるんだ!』と発見するのが楽しい」と顔を輝かせる。そうして発見した熱海の魅力を、リゾナーレ熱海を訪れるゲストにも知ってほしい――これが栗原氏の仕事のモチベーションになっている。

この秋は、くすくすの森でお月見団子に見立てた温泉饅頭づくりに挑戦できる企画を始めた。コラボ先に選んだ地元を代表する饅頭メーカーとは、趣味のボランティア活動を通じて知り合ったという。「いまは熱海がすでに持つ魅力をゲストに紹介していますが、いつか地元の人たちと一緒に魅力を作り上げていきたい」と抱負を語った。

星野佳路氏の視点――現場発のアイデアは一見ムダでも試してみる >

iyashi

著者紹介

星野佳路(ほしの・よしはる)

星野リゾート代表

1960年、長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。日本航空開発(現・JALホテルズ)に入社。シカゴにて2年間、新ホテルの開発業務に携わる。89年に帰国後、家業である㈱星野温泉に副社長として入社するも、6カ月で退職。シティバンクに転職し、リゾート企業の債権回収業務に携わったのち、91年、ふたたび㈱星野温泉(現・星野リゾート)へ入社、代表取締役社長に就任。

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