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スッキリ目覚めて疲れが残らない睡眠術

2016年12月22日 公開
2023年05月16日 更新

裴英洙(医師/ハイズ代表取締役社長)

 

眠りを「見える化」する睡眠ログとは?

 最適解を見つけるには、自分の「悩み」を明確化することが必要です。寝つきが悪い・眠りが浅い・早朝に目覚めたあと眠れない・長時間寝ても疲れが取れない……など、同じ「睡眠不足」でもさまざまな側面があるものです。自分がどれに当たるのか、もしくは複数該当するのか、つかむのが第一歩です。

 次いで、客観的なデータとして、「睡眠ログ」をつけてみましょう。

 方法は簡単です。①入眠時間(眠る時間) ②起床時間 ③両者から算出できる睡眠時間 ④目覚め感 ⑤その日の日中のパフォーマンスについて、メモするだけでOK(④と⑤は「〇・△・×」で表わす)。

 なお、出張の前後や年末年始など、普段と違う環境にいるときのデータはあまり参考になりません。最初は、自分の「ごく典型的な1週間」をログにすることから始めましょう。

 これを1週間続ければ、自分の眠りの傾向が見えてきます。

 より詳細なデータを取りたいときは、「日中のパフォーマンス」を次の3項目に分けて記録しましょう。①日中の眠気とだるさ ②集中力の低下度 ③身体の疲労残存感を「〇・△・×」に分けて書くと、何時に入眠し、何時間寝れば良いか、よりつかみやすくなります。

 こうして睡眠を「見える化」しながら、並行して睡眠習慣と環境の改善をはかりましょう。

 良い睡眠を得る条件は一様ではありません。食事のタイミングや適度な運動、快適な寝具、寝室環境などが複雑に絡み合うものです。自分の行動パターンを考えて、何をどう変えたら眠りにどんな変化が出るかをチェックしましょう。

 その際、1日のスケジュールを夜からスタートさせることがポイント。翌日のための準備は夜から始まっているからです。

 さらに、すべての方法を同時に複数、試してはいけません。「朝、日光を浴びる」を試してみて、変化がなければ「日中の運動量を増やす」、それでも変化がなければ「寝室環境をひと工夫」などと、一つずつ試せば、何がネックだったのかがわかります。

 そこを改善できれば、それがあなたの「最適解」。夜間の熟睡と、日中のハイパフォーマンスが実現するしくみが手に入るでしょう。

 そして、自分にとって最適な行動がわかったら、それを毎日続け、習慣化していくことです。その場しのぎの対応ではなく、睡眠に対する意識を変えていくことが、仕事のパフォーマンスを上げるうえで何よりも大切なのです。

《取材・構成:林 加愛》
《写真撮影:まるやゆういち》
《『THE21』2016年12月号より》

著者紹介

裴 英洙(はい・えいしゅ)

ハイズ〔株〕代表取締役社長/医師/医学博士/MBA

1972年、奈良県生まれ。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科に勤務。医師として働きながら、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)を首席修了。ビジネス・スクール在学中に、医療機関再生コンサルティング会社を設立。現在も医師として臨床業務をしつつ、医療機関経営に関するアドバイスを行なう。著書に、『一流の睡眠「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』(ダイヤモンド社)など。

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