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職場での自分がわかる3つの心理テスト

2017年04月03日 公開
2023年04月06日 更新

齊藤 勇(立正大学名誉教授)

自分を知り、相手の本音を知ればうまくいく

相手が何を考えているのか、また自分が周囲からどう思われているのか、そうしたことが気になってしまってモヤモヤすることがあるだろう。相手を知り、自分を知ることができれば、集団の中でうまく行動でき、ストレスが激減するはず。そのための「心理学」についてうかがった。《取材・構成=塚田有香》

 

相手の本音は「視線」でわかる!

日本人は外国人に比べて、「相手に嫌われたくない」という欲求が強い傾向にあります。特に相手が上司や顧客の場合、「自分は好かれていないのでは」「相手はこの商談に乗り気ではないのかもしれない」といった不安や焦りが、対人ストレスを生む大きな要因になります。

そんなとき、話し方や表情などから相手の心理がわかれば、自分の気持ちも落ち着きます。

たとえば、目の動きに注目してみましょう。相手の視線が、自分の額の真ん中と両目の端を結んだ「権力ゾーン」と呼ばれる三角形の部分に集中していたら、相手は「自分の権力を誇示して優位に立ちたい」と考えています。よってこの場合は、丁寧な敬語を使い、相手を立てる会話を心がけると良いでしょう。

反対に、自分の両目の端と口を結んだ「社交ゾーン」に相手の視線が集中していたら、相手は「リラックスして話しながら、お互いを理解したい」と思っています。この場合は、多少フランクな話し方をしても大丈夫なはず。こうして本心を見抜けば、相手をうっかり怒らせることがなくなり、こちらも余計なストレスを抱えずに済みます。

 

部下のまばたきが多い時は要注意

相手の本音を見抜くポイントは、まだあります。
まばたきの回数にも、相手の心理状態が表れます。まばたきが多い人は、「内心動揺していいて、何とか落ち着こうとしている状態」。報告に来た部下のまばたきが多かったら、何か隠し事をしているかもしれません。

もちろん、表情も重要なポイント。片方の口角だけが不自然に上がるなど、左右非対称の表情は本心を隠しているサイン。交渉中にこんな表情をしていたら、言葉が前向きなものでも、最終的にノーを突きつけられる可能性があります。

相手のしぐさも要チェック。会話中に相手が椅子の背に寄りかかったら、退屈している証拠。鼻の周りを触った場合も、話に興味がないという意味です。

ただし、四六時中「相手の心を見抜いてやろう」と考えていると、その緊張が相手にも伝わります。相手が印象的な素振りをした時に、「この仕草はノーだったな」と思い出せる程度で十分だと考えてください。

 

人間関係を好転させる「あいづち」の魔法

しぐさや表情から相手の本音を分析することは、対人ストレスを減らすきっかけになりますが、それだけで良い人間関係が作れるわけではありません。本当に大事なのは、相手を知ったうえで積極的にコミュニケーションを取ること。いくら相手の本音を知っても、話しかけようともせず距離を置いたままでは、仲良くなる可能性はゼロのまま。たとえ現時点では相手から好かれていなくても、相手を喜ばせたり、楽しませたりするポジティブなコミュニケーションを心がければ、相手もこちらに良い感情を持つようになります。

そのためのコツは、「褒めること」と「あいづち」。次の「さしすせそ+そ」を会話の中で意識的に使うと効果的です。

「さ:さすが」
「し:知らなかった」
「す:すごい」
「せ:絶対」
「そ:そうですね」
「+そ:それで(それから)?」

ビジネスマンにとって、最終目標は人の心を読むことではなく、相手と親しくなって円滑に仕事をすること。その点をくれぐれも間違わないようにしましょう。

 

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著者紹介

齊藤 勇(さいとう・いさむ)

立正大学名誉教授

早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。人間関係の心理学の中で、特に対人感情や自己呈示の心理などを研究。企業や学校での対人関係を良好にするスキルについても研究を深め、独自の「あいづち対話法」を開発し、その普及に務めている。日本あいづち協会理事長。日本ビジネス心理学会会長。大阪経済大学客員教授。近著『超・相槌』(文響社)、『ずるい心理学』(ぱる出版)など、著書は200冊以上。

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