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ムスリムなのに商売ベタ? 気まぐれな砂漠の民(モーリタニア)

2017年02月03日 公開
2017年08月10日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(18)石澤義裕(デザイナー)

気まぐれすぎるシェフの気まぐれ料理


モーリタニアの平均月収は、約100US$。フランスパンは、一本30円。

つい半世紀前まで、国民のほとんどが遊牧民だったモーリタニア。

ムスリムは商売上手なものですが、ヤギやラクダのお供では仕事術は培われなかったようで、成長なき商売下手です。

ひたいに汗して働いているものの、儲からないように見える化された商い。
すべては砂に埋もれてしまう末法感か、今日の経験を明日に持ち越さない砂漠流なのです。

日に2度3度と通った安食堂。
シェフの気まぐれ感が、半端ないです。

チーズオムレツに、チーズが入っていないレベル。運次第でサラダが付いている不安定なサービス。お茶ですら甘かったり苦かったりする、振幅の激しい暖簾の味。信用という調味料は入っていません。

4点ほど同時に注文すると、たいていひとつは忘れます。
反省なき砂漠流ですから、同じミスを続けることにおいてはブレがありません。

オーダーした1時間後、これは作れませんと告げに来るつぶらなお目目に詫びの色はなく、混んでもいないのに毎度毎度2時間も待たす段取りの悪さ。
缶ジュースですらきっちり2時間後に持ってくるということは、オーダーを受けてから冷やしているのかもしれません。

朝飯が昼にずれ、昼飯が午後遅くになるので、省エネ老人のボクらは晩飯が食べられなくなります。

ムハンマド社長、せめて1時間早く食事ができれば、3割も売り上げが伸びることでしょう。

 

3割引き4割引き当たり前の「最後のフロンティア」

お会計がまた儲からないというか、儲けたくないような砂漠流です。

メニューの価格は400なのに、請求は300だとかは序の口。
釣り銭が足りなかったら、お釣りを払わなくて済む金額まで値下げ。従業員の胸算用で、3割4割当たり前っ!という値引きです。

致命的なのが、足し算。
チキンが800で~、サラダの800を足して~、+800+300=と丁寧に計算式を書き込みますが、合計は1200でした。

半額以下!

二日に一回も半額になるのですから、ラストフロンティアなわけです。

 

宿のオーナー。英語が通じないわりに、口癖は「No Problem!」。

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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