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FREETELは「日本のモノ作り」で世界一のメーカーになる

2017年02月25日 公開

増田 薫(プラスワン・マーケティング代表)

【連載 経営トップの挑戦】 第17回
プラスワン・マーケティング〔株〕代表取締役
増田 薫

 

『FREETEL』のブランド名で事業を展開するプラスワン・マーケティング。この頃話題のMVNOとして耳にしたことがある人も多いだろうが、それだけでなく、スマートフォンを作っているメーカーでもある。そもそも、メーカーとしての事業のほうが、MVNO事業よりも早くから始めている。数多く現われたMVNOとプラスワン・マーケティングとが一線を画するのは、この点だ。創業者社長の増田薫氏は、なぜ「メーカーかつMVNO」であることを選んだのか? そして、なぜ業績を急伸させられているのか? お話をうかがった。

 

メーカーでもあり、MVNOでもあることのメリットとは?

 ――『FREETEL』は順調に成長しているようですね。

増田 はい。メーカーとしてのスマートフォン販売数は、国内・海外含め、直近の四半期では対前年比で約4.4倍の成長を遂げました。

 海外進出は2015年11月から始め、これまで約1年2カ月で約30カ国・地域まで拡大しています。

 MVNOとしての通信回線契約数も約8.6倍と、さらに大きな成長を遂げました。

 ――御社の大きな特徴は、端末のメーカーでもあり、MVNOでもあり、アプリの開発もしていることです。そのメリットはどこにあるのでしょうか?

増田 まず、ユーザーに買っていただきやすいことです。端末もSIMも一緒に扱っているので、他のMVNOよりも簡単に、大手キャリアと同じように契約していただけます。

 私は、人のモノの買い方は変えられないと思っています。ですから、売り場についても、従来からユーザーが携帯電話を買っていたのと同じ場所に設けることにこだわっています。家電量販店に、NTTドコモやau、ソフトバンクのコーナーと並んでFREETELコーナーを作ってきたのはそのためです。

 また、何かトラブルが起きてサポートセンターにご連絡をいただいたら、どんなトラブルでもその場で対応できます。メーカーから端末を仕入れているMVNOだと、「それは端末の問題なので、メーカーに問い合わせてください」などと、たらい回しにされてしまうことがありますが、当社は端末もSIMも自社のものですし、サポートセンターは社内に置いて、権限も与えてフレキシブルに対応できるようにしていますから、そういうことが起きません。

 それに、コストを下げて、ユーザーにお支払いいただく端末の代金や通信費を抑えることができます。

 ――端末を自社で作っているぶん、他のMVNOと比べてコストが高くなっているのではないかという気がしますが……。

増田 逆なんです。メーカーから仕入れた端末を売っているMVNOは、他のMVNOと同じ端末を売ることになります。端末で他社との差別化ができないので、売上げを伸ばすためには、広告宣伝費をどんどんかけるか、安く売るしかない。広告宣伝費をかければ、当然、コストが高くなりますし、安く売るためには大量に仕入れなくてはなりませんから、在庫リスクが大きくなる。仕入れた在庫を売るために、販売コストも高くなります。当社は、他社にはない、特徴のある端末を自社で開発していますから、こうしたコストを低く抑えられるのです。

 ――特徴のある端末というと?

増田 他の各メーカーが出している端末は、どれも似ているように思うんです。価格によってスペックが違うだけで、それぞれの特徴があまりない。でも、ユーザーによってニーズは違います。ですから当社は、それぞれのニーズに合った特徴のある端末を、自社開発によって作っています。

 たとえば、『RAIJIN雷神』は電池が5,000mAhもあるのが特徴です。ヘビーユーザーでなければ1週間もつと思います。『Priori 4』は、裏蓋を着せ替えして、カラーバリエーションを楽しめます。

 


左から『Priori 4』、フラッグシップモデルの『SAMURAI KIWAMI極2』、『RAIJIN雷神』


『Priori 4』の裏蓋。着せ替えることでカラーバリエーションを楽しめる

 

 今、多くのメーカーはODM、つまり設計から工場に任せるビジネスを広げていますが、当社はEMS、つまり生産だけを工場に委託する形を取っています。ODMだと、工場としては同じ基盤でいろいろな製品を作れるほうがいいわけですから、製品に特徴がなくなってくるんです。

 また、ODMよりもEMSのほうが不良率を下げられます。当社の不良率は国内の大手メーカーと同等レベルで、まったく遜色ありません。

 不良率が下がると返品が減りますし、サポートセンターへの問い合わせも減りますから、そのぶんのコストも下がります。

 ――開発の体制はどうなっているのですか?

増田 今、当社の社員数は約200人で、そのうち半数以上が開発に携わっています。私は「日本メーカーとして、2025年9月までに世界一のスマホメーカーになる」と決めているのですが、みんな、それに共感して入社してくれた技術者たちです。たとえば、国内の大手メーカーの元品質管理責任者も入社してくれました。

 ――御社が独自に開発した技術もあるのですか?

増田 そうですね。たとえば、FREETEL UIというインターフェイスがそうです。Androidだと、通常は上からスワイプする動きをしなければならないので片手では使いづらいのですが、FREETEL UIは片手で操作しやすいように設計されています。

 また、通常はホームボタンと指紋認証にしか使わないボタンに5つの機能を持たせています。これも、片手で使いやすいようにするためです。

 メーカーというと、ハードばかりが注目されますが、私はハードとソフトの両方が重要だと考えています。ですから、当社にはハードの技術者もソフトの技術者も多くいます。

 当社の端末には『SAMURAI』というシリーズがあるのですが、この名前には、日本メーカーであるという意味と、ハードとソフトの集合体であるという意味とを込めています。日本刀の刀身は、硬い鋼と柔らかい鋼を組み合わせてできていますから。

 ――かなりの力の入れようですね。

増田 かつては、ソニーの『ウォークマン』に代表されるように、日本メーカーの製品が世界を席巻していました。しかし、今はその輝きが失われて、日本人も海外メーカーの製品を買うようになってしまっている。日本人が買っているスマホは、多くが海外メーカーのものです。

 当社は、今や失われてしまった日本のモノ作りの原点に戻ることにしたのです。ユーザーのことを徹底的に考えて端末を作っています。これが、当社の端末が日本でも海外でも売れている根本的な理由だと思います。

 ――ユーザーにFREETELの端末の良さを伝えるために、どういうことをしているのですか?

増田 納得しないモノには1円もお金を払いたくないのが人ですから、見て、触って、納得していただくために、お店が大切だと思っています。ですから、先ほどお話ししたように、家電量販店など、従来からユーザーが携帯電話を買っていたのと同じ場所にFREETELコーナーを作っていくとともに、今年1年間でFREETELショップを全国に200店舗作ることにしています。

 

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iyashi

著者紹介

増田 薫(ますだ・かおる)

プラスワン・マーケティング〔株〕代表取締役

1972年、東京都生まれ。ソースネクスト〔株〕、Lenovo Japan、Dell Japanで営業部門の責任者を歴任。2012年、プラスワン・マーケティング〔株〕を起業。

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