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なぜ、商店街の布団屋さんはつぶれないのか?

2017年02月16日 公開

陰山孔貴(経営学博士・MBA・工学修士)

ということで、実際に聞いてみた

しかし、「謎だ。謎だ」と騒いでいても、いっこうに何もあきらかにはなりません。
全国にあるということは、全ての布団屋さんが某国の諜報部員だとは考えにくく、何らかのキャッシュポイントがあるということだと思うのです。
だからこそ、みんなが布団屋さんをやっていけるのではないでしょうか。

そこで、私は勇気を出して、ある行動をしてみることにしてみました。

行動:「実際にあの小さな布団屋さんに聞いてみよう!」

「!」マークをつけているので一見楽しそうに見えるかもしれませんが、もし、この布団屋さんが、運悪く某国の諜報部員だとしたら、私はこの質問をした瞬間、消されてしまうかもしれません。
家族のことが頭に浮かびながらも、私も研究者の端くれです。
あたって砕けろということで、ある布団屋さんに聞いてみることにしました。
すると、こんな返事がかえってきました。

「うち、貸布団やっているのよ」

「ん? なんですと? 貸布団って。布団の前に『貸』がついていますけど……」

もう少し聞いてみると、貸布団とは、布団を貸してくれるサービスのことらしいのです。

ちなみに、貸布団が、具体的にどういう時に利用されるかと言いますと、お泊り会や合宿などの学校行事の時、遠方の家族が急に泊まりに来た時、冠婚葬祭で親族が集まった時などのようです。

確かに便利ですよね。
貸布団のサービス。
年に1回程度しかない学校行事のために、多くの布団を学校において、手入れをするのは先生達も大変な作業になりますし、布団はかさばるものでもありますので、いつあるかわからない冠婚葬祭のために、家に余分な布団を置いておくのも難しいですものね。

素晴らしいサービス。
貸布団サービス。

実際、その布団屋さんのホームページを見てみますと、提供しているサービスの中に「貸布団・リース」と書いてありました。

私が調査したところによると、大体、1日のレンタル料は、3,000円程度がひとつの目安のようです。
標準仕様の布団ではなく、羽毛布団のようなグレードの高い布団はさらに高い料金を出せば選択できるようです。
また、夏布団と冬布団で値段も変わったりするようです。
他にも、配送料は別途かかるところも多いことがわかりましたし、複数の日数連続で借りる場合は、割引価格が適用されたり、学校で使用する場合は、割引価格が適用される場合もあるということもわかりました。

そして、さらに調べてみますと、私の想像以上に布団を貸し出してくれる布団屋さんが全国にたくさん存在することがわかりました。

また、電話やインターネットで貸布団のサービスを注文できるお店が多くあることがわかってきました。
つまり、お店にいかなくても、布団を借りられるのです。
だから、お店にお客さんがいなくても、貸布団屋さんは、あまり困らないのです。

 

キャッシュポイントは店頭だけとは限らない

もちろん、全ての布団屋さんが貸布団のサービスをしているわけではありません。
しかし、布団屋さんの中には、布団を売る以外に「貸す」というサービスをキャッシュポイントとしているお店が多数あるのです。
さらに、その貸布団に関しては、店頭での販売ではなく、電話やインターネットでの注文を受け付けているお店も多くあり、お店にお客さんがいなくても、ある程度の売上が確保できるカラクリがあるのです。

さらに、街角の布団屋さんには、貸布団だけでなく、布団の修理や布団の打ち直しも仕事としてあるようです。

ちなみに打ち直しとは、簡単に言うとお布団の再利用(リフォーム)のことです。
長年使用して硬くなったお布団を機械で解きほぐしゴミ・塵などを取り除き、弾力を回復させることでふっくらとよみがえらせ、新しい生地でお布団を作り直すこと、これを打ち直しと言います。

愛着のある布団は、買い直すのではなく布団の打ち直しなどをして、長く使いたいという顧客も一定以上おられるようなのです。

つまり、布団屋さんは、布団を売る以外にも、布団を貸したり、修理するというキャッシュポイントをもっていたのです。

やはり、商売を継続できているお店にはなんらかのキャッシュポイントがある、というお話でした。

iyashi

著者紹介

陰山孔貴(かげやま・よしき)

経営学者(経営学博士・MBA・工学修士)

1977年大阪府豊中市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科で電子・光子材料の研究を行った後、シャープ株式会社入社。急拡大する液晶パネル事業の経営管理、ヒット商品となった「ヘルシオ」の企画開発などに携わり3度の社内表彰を受ける。ヘルシオの企画開発期には並行して、神戸大学大学院経営学研究科にて学ぶ(博士課程を修了)。その後、シャープが経営危機に陥るなか、経営企画室で企業再建業務に従事。その過程で「モノ」よりも「ヒト」を育てる仕事をしたいという思いが芽生え、2013年から大学教員へ転身。現在、獨協大学経営学科にて「経営戦略論」の講義を担当する。「実務」と「理論」の両面に携わった経験を活かし、経営学を身近な視点で学べるだけでなく「魅力ある大人」と出会えるゼミは定員20名に対し多くの学生が殺到する人気ゼミとなっている。獨協大学 経営学科 専任講師。

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