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1日1億円以上売るカリスマ実演販売士の話し方

2017年05月02日 公開

レジェンド松下(実演販売士)

「序・破・急」のストーリーで惹きつける!

 

商品を実際に使ってみせながら、スラスラと口上を並べる実演販売士。百貨店などの店頭で、またテレビの通販番組でも見たことがあるだろう。この業界でトップクラスの実績を誇り、テレビショッピングで1日に1億8,000万円の売上げを記録したこともあるカリスマ実演販売士・レジェンド松下氏に、人の心を動かす話し方の秘訣を聞いた。《取材・構成=塚田有香、写真撮影=長谷川博一》

 

話の導入部分こそ時間をかけて丁寧に

ホームセンターや百貨店の店頭に立ち、実際に商品を使ってみせながら、その魅力をわかりやすいトークで買い物客に伝える実演販売士。この業界きっての実力者で、1台10万円の高級電子レンジを1日で150台以上販売したほどの実績を誇るのがレジェンド松下氏だ。
たまたま通りかかった人の足を止め、商品に興味を持たせて、最終的に購入してもらうという高いハードルを越えるために、プロの実演販売士はどんな話し方を実践しているのか。

「実演販売士はその場で話すことを決めるわけではなく、必ず事前に台本を作ります。お客様の心を動かすには、皆さんが納得できるだけのしっかりしたストーリーが必要だからです。
私が台本を作る時は、『序・破・急(じょはきゅう)』の構成でストーリーを組み立てます。もともとは雅楽や能楽で使われてきた三段構成で、これを意識すると話にリズムが生まれ、聞く人の気持ちを動かしたり、巻き込みやすくなります」

『序』は話の導入であり、実演販売士にとっては、客と信頼関係を築くための重要な段階だ。

「たいていのお客様は実演販売士を見かけると、こちらを警戒して離れた場所で足を止めます。ここでいきなり『この商品、いいですよ!』などと言ったら、即座に逃げられるのがオチです。
そこで『序』では、相手との物理的な距離と心理的な距離の両方を縮めるために、まずはお客様と課題を共有します。
たとえば、私が長年販売している業務用のピーラーは、『野菜の皮をむくだけでなく、キャベツの千切りも簡単にできる!』という点が、最もキャッチーで見る人にインパクトを与えるアピールポイントです。でも私は最初からこの特長を説明せず、まずは従来のピーラーについて、お客様が普段感じているはずの不満や悩みを投げかけます。
『従来の皮むき器は、野菜の表面をザクザク引っ掻いているだけなので、野菜の繊維を傷めちゃうんですよね』
ここでお客様が『うんうん』とうなずきたくなるシチュエーションをたくさん提示できれば、私との間に共感が生まれ、信頼関係につながります。
ポイントは、丁寧にゆっくりと話すこと。私の場合、『序』だけで十五分ほどかけます」

 

一番のアピールポイントを序盤に話してはいけない!

この前置きを経て、ようやく商品説明に移る。

「『このピーラーは今までにない硬い刃を使っているので切れ味抜群。見てください、切り口がピカッと光るほど滑らかでしょ?』と話せば、お客様は『この人の話は役立つかも』と思い始めます。ここまでが『序』。
ここで共有した課題を解決するのが次の『破』の段階。信頼関係の下地ができたので、ここでようやくキャッチーな売り文句の出番です。『しかも! キャベツの平らな面に刃を置いてスッスッと動かすだけで、極薄の千切りができるんです!』と、ここで初めて伝えるのです。お客様に『すごい!』という驚きを与えることができたら、距離を詰めるチャンス。『前へ来ていただくと見やすいですよ』と声をかけると、全員が寄ってきてくれます」

この『破』からは話のテンポをどんどん上げ、最後の『急』で一気に畳み掛ける。

「『急』は、お客様に夢を見せる段階。『これを買えば、こんなこともあんなこともできる』と、いくつもメリットを伝えます。
『キャベツだけじゃない、ピーマンも玉ねぎもゴボウも何でも来い。薄切りもできるし、涙も出ないし、硬いものを切っても刃が傷まない!』とアップテンポで並べ立てると、お客様の『欲しい!』という気持ちは最高潮に盛り上がり、次々と商品を手に取ってくださいます」

 

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著者紹介

レジェンド松下(れじぇんど・まつした)

〔株〕コパ・コーポレーション取締役/実演販売士

1979年、神奈川県生まれ。法政大学経済学部卒業後、実演販売士の和田守弘に弟子入り。実演販売のメソッドに独自の売り方を融合することで頭角を現わし、紹介した商品は「テレビショッピングで1日に1億8,000万円販売」「東急ハンズの100万点以上ある商品の中で売上1位」「楽天通販サイト売上総合1位」などの実績を持つ。通販番組やバラエティ番組への出演も多い。著書に、『話し方より大切な「場の空気」の説得術』(KADOKAWA)がある。

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