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星野リゾートの現場力(14)界 伊東の「椿の間」

2017年05月01日 公開

星野佳路(星野リゾート代表)

伊東という土地が大好き。その魅力を伝えたい

日本を代表するリゾート運営会社・星野リゾートでは、「遊び」や「楽しみ」の中に仕事のヒントを見つけたり、逆に仕事をきっかけとした趣味を楽しんだりしている社員が多いという。本連載では、そのような「遊びと仕事」の融合の事例を、代表の星野佳路氏のコメントとともに紹介。第14回は、「星野リゾート 界 伊東」から、伊東という土地に惚れ込み、地域の魅力発信に尽力するスタッフをレポート。《取材・構成=前田はるみ》

 

「好き」な土地で働くことの充実感

その土地が好きだから、土地の魅力を大勢の人に伝えたい――そんな思いで旅館業に飛び込む人が星野リゾートには少なくない。静岡県・伊東温泉にある温泉旅館「界 伊東」で働く逸見康成氏もその一人。出身は埼玉県だが、伊豆の素朴な自然が織りなす風景は「心の原風景」だと感じるという。五年前、旅行で訪れた伊豆の魅力に心を奪われ、夫婦で伊豆へ移住してしまったほどだ。そんなとき、土地の魅力で旅行客をもてなす星野リゾートの取り組みを知り、1年半前に転職した。

逸見氏は今、「界 伊東」の魅力創造チームのリーダーとして、伊東市の花木である「椿」をテーマにしたサービスやアクティビティを企画・実施、旅館のPRに取り組んでいる。伊豆で活動する紙切り作家・水口千令氏の協力を得て、椿をモチーフにした切り絵で障子を彩ったご当地部屋「椿の間」を作り上げた。また、この冬は、宿泊客向けに椿の種から油を抽出する「椿油づくり体験」を実施した。「椿を桜に並ぶ日本を代表する花としてブランディングできれば面白い。椿にはその可能性がある」と言葉にも熱がこもる。

「1日1椿」で好きになる努力を

逸見氏が赴任したとき、椿というテーマはすでに決まっていた。「それまで椿には縁も関心もなく、最初は興味が持てなくて苦しかったですね」と打ち明ける。そこで取り組んだのが、椿に関する情報を毎日一つずつスタッフに向けて配信する「1日1椿」である。アウトプットを自分に課し、椿に興味を持てるように追い込んだ。それを百日間も続けたのだ。

「よくわからないと思いながらも続けていくうちに、椿のことが理解でき、好きになっていきました。するとどんどんアイデアが湧いてきました」と笑う。

なぜそこまでして、椿を好きになろうとしたのだろうか。
「人生において仕事の時間は大きなウエイトを占めています。その時間が楽しいか、それとも無味乾燥なものかは大きな差があります。私は『この旅館で働いてよかった』と思いたい。これは社長が常々、私たちに話すことでもあります。だから、与えられた命題であっても、好きになるまであきらめないことが大事だと思うのです」

好きでなければ、好きになってしまおう――そんな前向きさが、どんな仕事も楽しむ逸見氏の最大の強みかもしれない。

 

星野佳路氏の視点――個々の「働きがい」に組織が柔軟に対応する >

iyashi

著者紹介

星野佳路(ほしの・よしはる)

星野リゾート代表

1960年、長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。日本航空開発(現・JALホテルズ)に入社。シカゴにて2年間、新ホテルの開発業務に携わる。89年に帰国後、家業である㈱星野温泉に副社長として入社するも、6カ月で退職。シティバンクに転職し、リゾート企業の債権回収業務に携わったのち、91年、ふたたび㈱星野温泉(現・星野リゾート)へ入社、代表取締役社長に就任。

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