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日本に広がる「不寛容オフィス」の実態とは?

2017年02月23日 公開
2023年04月06日 更新

『THE21』編集部

音もにおいも不快! ヌードル・ハラスメント

40代のNさんはカップラーメンが大好物。だが、最近どうも肩身が狭い。「昼食時にラーメンをすすっている音がうるさい」「においも気になる」と女子社員から人事部へクレームが入ったというのだ。

女子社員たちは別の場所で食事をしており、直接的に被害をこうむっているわけではない。だが、「席に戻った瞬間にラーメンのにおいが残っている」ことすら我慢ならない、ということなのだ。

「以来、なるべくにおいの出ないものを食べていますが、そこまで気を使わされると何を食べてもおいしくなくなりますよね」(N氏)

ちなみにこうした「ラーメンの音」による被害を指す「ヌードル・ハラスメント」という言葉もある。気をつけよう...と言いたいところだが、なんとも窮屈な話ではある。

 

ルールを守ってもダメ!? タバコへの不寛容

昨今はいわゆる「分煙化」が進み、喫煙室や喫煙場所が別途設けられているオフィスがほとんどだ。にもかかわらず、タバコを吸う人への風当たりが強くなっていると感じる人は多い。喫煙者であるM氏は語る。

「喫煙室は会社の端にほんの少しのスペースしか占めていないのに、さも迷惑そうな顔で横切っていったり...。においが気になるといったクレームを人事に上げている人もいるようです。きっちり分煙もされていて、そんなはずはないのですが。

もっとも、大半の社員は気にしておらず、ごく一部のタバコ嫌いの人が騒いでいるだけのようですけどね。それでも、反論しにくいのが現状です」

人に迷惑をかけなければ、リラックスのために何をしようが自由なはず。喫煙室でのコミュニケーションは社内の円滑化に一役買っているという説もある。

ちなみに厚生労働省では、「喫煙後は遠回りして、においを落としてから帰る」というルールすら設けられたという。すべてを否定しようというこの動き、あまりにも偏っていないだろうか。

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