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「地方創生」で活気づくU・Iターン

2017年03月14日 公開

冨山和彦(経営共創基盤[I GP I ]代表取締役CEO)

「地方で働くこと」に目を向ければ新たな幸福モデルが見えてくる

現在、地方経済は大きな転換期にある。東京集中型の経済モデルが限界を迎えつつある中、地方がみずから成長し、成果を出すべき時代に入ったともいえる。それにいち早く気づいた地方自治体や地方企業ほど、優秀な人材を招き入れるべく、さまざまな工夫をしているのだ。「地方創生」によるUターン・Iターンが加速している今、地方ではどのような人材を求めているのだろうか。みずからも地方創生事業に携わる冨山和彦氏にお話をうかがった。

 

「地方には仕事がない」は大きな誤解だ!

 安倍政権が「地方創生」を政策として掲げる中、UターンやIターンへの関心が高まっている。その一方で、「地方は仕事がなく、人手も余っていて就職先が見つからないのでは」と考える人も多い。だが、地方企業の経営改革や成長支援に携わってきた冨山和彦氏は、「その認識は大きな誤解だ」と指摘する。

「地方では人手が不足している。それが現実です。東京より先に高齢化が進み、人口全体の減少ペースを上回る速さで生産年齢人口が減少しているため、仕事の求人に対して、圧倒的に労働人口が足りないのです。

 確かにバブル崩壊後の20年強は、地方も含めて全国で人が余っていました。ところが団塊世代の大量退職を機に、一気に人手不足が進んだ。とくに深刻なのが地域密着型のサービス業です。鉄道やバスなどの交通機関、医療や介護、小売りや飲食など、労働集約型産業はどこも人手が足りていない。私も東北と北関東で公共交通会社の経営に携わっているので、この現状を肌身で感じています」

 地方の人手不足を解消するには、労働生産性を高めることが必須だと冨山氏は話す。

「仕事はたくさんあるのに、地方の人が都会へ出て行くのは、仕事の質に問題があるから。もちろん、地方にも生産性の高い優秀な企業はありますが、“低賃金・長時間労働” で商品やサービスを安売りする会社もまだ多く、より良い仕事を求め都市部に労働人口が流出するのです。

 労働生産性が低い理由の一つは、産業特性にあります。先ほど挙げたサービス業はとくに、地域への密着度で優位性を保てるため、完全競争が成り立ちにくい。まずくてサービスが悪い飲食店でも、駅中や駅近など立地が良い場所にあればやっていけるので、生産性の低い会社でも淘汰されずに生き残ってしまいます。

 もう一つの理由は、経営の問題です。人が余っていた時代は、労働生産性が低い企業でも、なるべく潰さず雇用の受け皿になってもらう必要があった。さらに、地方経済に陰りが見えてきた頃も、失業者を顕在化させないため、政府は各種の助成金や信用保証協会による融資によって、こうした企業を延命させてきた経緯があります。

 ところが、労働市場の需給バランスが逆転したことで、労働生産性が低いままでは経営が成り立たないことに企業も気づき始めた。最小限の人手と労働時間で効率良く稼ぎ、従業員の賃金を上げるために経営を改革しなければ、人手不足はさらに深刻化するだけです」

「力を発揮したい」からこそ、地方を目指す >

iyashi

著者紹介

冨山和彦(とやま かずひこ)

経営共創基盤CEO

1960年生まれ。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、2003年産業再生機構設立時にCOOに就任。解散後、経営共創基盤(IGPI)を設立。現在、オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役、みちのりホールディングス取締役、 経済同友会副代表幹事、財務省・財政投融資に関する基本問題検討会委員、内閣府・税制調査会特別委員、文部科学省・国立大学法人評価委員会「官民イノベーションプログラム部会」委員、経済産業省・「稼ぐ力」創出研究会委員などを務める。
著書に、『ビッグチャンス』『なぜローカル経済から日本は甦るのか――GとLの経済成長戦略』 『IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ』(以上、PHP研究所)、『稼ぐ力を取り戻せ!――日本のモノづくり復活の処方箋』(日本経済新聞出版社)などがある。

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