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仕事で使える!「損をしない」言い換えフレーズ25

2017年04月15日 公開
2023年04月06日 更新

渡辺由佳(話し方・ビジネスマナー講師)

 

部下への指導、会議・プレゼン編

部下への指導7
×「とりあえずプレゼン案、いくつか出してくれる?」
○「次回はぜひ、うちの部のプレゼン案を通したいから、いくつか出してもらえる? 力作、期待しているよ」

依頼や指導をする立場の人は「とりあえず」はNGワード。本来、こちらの意図や想いを込めるべき言葉を「とりあえず」に置き換えてしまっているから、部下には何も伝わらないのです。「今回は絶対勝ちたいから」「君はうちのエースだから」と意図を明確に言語化して相手に伝えましょう。最後にポジティブなメッセージを伝えればさらに良いでしょう。

部下への指導8
×「あとは私がやっておいてあげるから」
○「あとは私がやっておくから」

いつのまにか「あげる病」にかかっていませんか? 「~あげる」という言い方は、「私がわざわざやってあげる」という恩着せがましいニュアンスが含まれ、せっかく手伝っても相手には感謝されないという残念な結果にも……。「私がやる」と自分の意思として伝えたほうが、結果的により感謝されます。

部下への指導9
×「○○くん、君はどうしていつも間に合わないんだ」
○「○○くん、きちんと締め切りを守ってくれないと私が困るんだが、なんとかならないかな」

「どうして」「いつも」という頭ごなしの言い方は、部下の人格や過去まで丸ごと否定してしまいます。頑張ってほしい気持ちを伝えるならば、相手を主語にする「YOUメッセージ」より、自分を主語にする「Iメッセージ」が効果的。相手を批判するトーンが抑えられて、相手の心に訴えかける指導ができます。

部下への指導10
×「君のこと、A社の田中さんから仕事が遅いって言われたよ」
○「A社の田中さんの性格を考えると、連絡はできるかぎり早くしたほうがいいよ」

第三者からの悪い評価は本人に伝えないのは人間関係の大原則。これでは伝えた上司も一緒になって批判しているかたちになり、部下は二重に傷つくからです。批判はそのまま伝えるのではなく、自分の中で噛み砕いて「アドバイス」に変えること。こうすれば、部下を傷つけずに行動の改善を促すことができます。

会議・プレゼン11
×「どこがいけないのですか?」
○「部長のお考えを反映したいので、ご意見をうかがえますか?」

会議の席で上司から提案をダメ出しされたとき、「どこがいけないのですか?」では、「どこが気に入らない?」と喧嘩腰に聞こえてしまうことも。曖昧なニュアンスを含む言葉遣いは、誤解や行き違いを生みやすくビジネスではNG。「あなたの意見を聞きたい」という気持ちを言葉にして伝えましょう。

会議・プレゼン12
×「どう考えてもA案が良いと思います」
○「B案も良いのですが、◯◯の点でA案が捨てがたいのですが、いかがでしょうか?」

対立関係を作らずにA案に引っ張るには、B案をバッサリと切り捨てないことが重要。A案に集約していくには、B案も認めつつB案を押す人に「A案はいかが?」と提案し、A案のフィールドに乗せること。これがスマートかつ円満に結論に誘導する会議のコツです。

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著者紹介

渡辺由佳(わたなべ・ゆか)

話し方・ビジネスマナー講師

1964年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。93年、独立。マナースクールや大学で話し方、言葉づかいに関する講義を行なう他、ビジネスマナーやコミュニケーションをテーマに企業向けのセミナー講師も務める。著書に、『会話力の基本』(日本実業出版社)など多数。

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