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野口悠紀雄の「ブロックチェーン」講義 第3回「DAO」は会社と仕事をどう変えるか?

2017年05月05日 公開

野口悠紀雄(経済学者)

「経営者がいない組織」が実現する?

仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術として注目を集めている「ブロックチェーン」だが、実際には金融の分野にとどまらず、あらゆるビジネス、組織の在り方、さらには私たちの働き方にまで本質的な変革をもたらす――。本連載ではそんな、ブロックチェーンの可能性についてお話をうかがってきた。

第1回「ブロックチェーンとは何なのか」
第2回「2つのブロックチェーン」

しかも、ブロックチェーンという革新的技術は「経営者がいない組織」すら可能にするのだという。それはいったいどういうことなのだろうか。

 

DAO「分散型自立組織」の登場

――前回は、ドイツのスタートアップ企業「Slock.it」についてうかがいました。ライドシェアや民泊といった「シェアリングエコノミー」に欠かせない電子ロックの開発を手がけ、まだ実際の事業が始まっていないにもかかわらず、1.6億ドルもの資金が集まっている。それだけでなく、「新しい組織の形」が現実になり始めているとのことでした。これはつまり、「経営にブロックチェーンを応用している」ということでしょうか。

野口 そうではありません。ブロックチェーンを活用することで、そもそも「経営の必要がない」「経営者がいなくてもよい」組織が生まれるということです。それが、新しい組織の形である「DAO」です。「Decentralized Autonomous Organization」の略で、日本語では「分散型自立組織」と言います。

伝統的な組織においては、中央に経営者、管理者がいて、彼らが様々な判断をすることで、組織を運営していきます。これに対して、DAOは管理者を持ちません。ブロックチェーンを構成する多数のコンピューターネットワーク=P2Pが、プロトコルに定められたルールにしたがって判断し、意思決定をし、実行するからです。

Slock.itも、事業の仕組みはDAOによって動いていますから、誰かが経営をする必要はありません。技術開発やメンテナンスをする人はいても、この仕組み自体を管理する人は必要ない。だからこそ、一度出来上がった電子ロックの仕組みは、仮にメンバーが全員亡くなってしまっても、企業が消滅したとしても、動き続けます。

――前回、新しい形の「予測市場」がブロックチェーンによって実現しているというお話がありました。胴元を人がやる代わりに、ブロックチェーンが行なう。これもやはり「DAO」によって可能になったということでしょうか。

野口 その通りです。予測市場を運営するには、これまでは誰かが胴元になることが必要でした。ただし、胴元が人間である以上、不正をするかもしれないという危険が常につきまとう。DAOで予測市場を運営すれば、胴元という管理者が必要なくなる。だから公正で透明な仕組みとなり、社会的信用を得られるのです。

――「経営者がいない」ことが、むしろ信頼につながるということですね。

「人間らしい仕事」だけをできる時代に? >

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著者紹介

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)

早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問/一橋大学名誉教授

1940年、東京都生まれ。63年、東京大学工学部卒業。64年、大蔵省入省。72年、イェール大学Ph.D(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2011年より現職。著書に、『「超」整理法』(中公新書)、『超「超」整理法』(講談社)など、ベストセラー多数。

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