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【今週の「気になる本」】『完璧な家』

2017年05月12日 公開

B・A・パリス著/ 富永和子(翻訳)/ハーパーBOOKS

ハンサムでエリートの夫が、実は……

郊外の豪華な邸宅で暮らす、ジャック&グレース夫妻。ジャックは俳優のようにハンサムで優しく、物腰も完璧で、職業は弁護士。しかも、ドメスティック・バイオレンスに苦しむ女性を助ける仕事を数多く請け負っている。料理上手のグレースは、見た目も味も完璧な手料理で、ジャックの友人をもてなす。誰がどう見ても「理想の夫婦」の二人だったが、実はグレースはこの「完璧な家」で「囚人」同然の毎日を送っていた……。

物語は、グレース宅でのホームパーティの場面から始まる。料理を失敗しないように、会話に粗相がないようにと、不自然なくらいに神経質になるグレースの心理描写。「わかった、この俳優のようにハンサムで弁護士だという『完璧な夫』はきっと、モラルハラスメントをしているに違いない」と考えた。

しかし、物語が進むにつれ、モラハラどころではない異常者であることがわかる。異常者にもかかわらず、その頭の良さから用意周到に、周囲に自分をまともな人間と思わせ、グレースを逃がさないようにする。グレースは彼の手から逃れられるのか、はたまた最悪のバッドエンドを迎えてしまうのか。ページをめくる手が止まらず、一気に読み終えた。

サイコパスは頭がいいという話を聞いたことがあるが、自分の周りにもこんな人がいるのではないかと思わされる、恐ろしい話であった。

私は小説が大好きだが、翻訳本はあまり好んで読んでいない。訳文だとどうしてもその世界に入り込めなかったり、文化が違って登場人物に感情移入できなかったりするからだ。しかし本書に関して言えばまったくそんなことはなかった。翻訳がうまい、というのもあるのだろうが、リアルにその怖さを想像できたからだろうか。久しぶりにこんなに面白い翻訳小説を読んだ。他にも著者の本をと思ったのだが、何と本作が処女作と知って驚いた。今後も注目したい作家である。

 


執筆:Nao(「小説」担当)

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