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メンタルダウン・リスク急増時代!

2017年07月12日 公開

大室正志(医療法人社団同友会 産業医室 産業医)

我慢は禁物! 負の感情を隠さない

体の弱い人が「明日から風邪をひかない体質になろう」としても、急には無理な話です。こういう場合、長期的には体質改善を目指しつつも、「風邪をひきそうだから、今日は早く寝よう」といった短期の対処をすることが肝要です。長期目標と短期の対処を混同してはいけません。

メンタルについても同様で、いきなり「ストレスに負けない心を作る」と構えず、まずは小さな対処法を覚えましょう。

ポイントは、理性と感情を分けて扱うこと。
「あの上司の命令、やらなきゃいけないのはわかるけれど、むかつく」「たしかに言っていることは正しいけれど、あの言い方はない」など、負の感情をきちんと認めるのです。
これを、「上司からの命令だからやるしかない」「自分がダメだからきつく言われて当然」と抑え込むから、つらくなるのです。

実は、残業を言い渡された部下のうち、「えー、今からですか?」と文句を言いながらやる人は比較的強い。「わかりました」と素直に従う人のほうが、辞めてしまいがちです。

日本人は、「大丈夫?」と聞かれれば「大丈夫です」と答える訓練しかしていません。とくに男性は弱みを見せるのが苦手で、察してくれることを期待しがち。しかし、ダイバーシティが進み、性別や国籍、文化の違う人と一緒に働く時代には、自分から「つらい」と言えなくてはなりません。

そのうえで、いざというときのために、「逃げる」というオプションを持ちましょう。背負うものがあっても、逃げるのです。
逃げてばかりでは成長できませんが、「最悪、逃げればいいか」と思えることが大事。今いるところにいたらつぶれると思ったら、休むなり転職なりを考えてほしいと思います。

 

こんな症状に要注意! 簡単セルフチェック・ポイント
メンタルが危険にさらされると、眠りが浅い、食欲がないなどの自律神経系の身体症状が出ます。これも重要なチェックポイントですが、こうした症状が出る前に気づいてほしいシグナルが2つあります。

1.仕事の能率が激しく落ちる
普段に比べて1~2割の能率低下なら「疲れているだけ」と見て問題ないでしょう。しかし、普段より4割以上も能率が落ちているのを感じたら、「もしかしたらおかしいかも」と思ってほしいのです。たとえば、1時間で終わるはずの書類作成に1.5時間もかかるようになったら、メンタル面の不調がないか考えてみてください。

2.好きなことでもやる気が出ない
仕事がどれだけつらくても、土日に趣味を楽しめるうちは大丈夫です。ところが、それすらも面倒な気分になったら黄色信号。このシグナルが出たら、産業医や上司に相談したほうがいいでしょう。

 

《『THE21』2017年7月号より》

iyashi

著者紹介

大室正志(おおむろ・まさし)

医療法人社団同友会 産業医室 産業医

1978年生まれ。産業医科大学医学部医学科卒業。専門は産業医学実務。ジョンソン・エンド・ジョンソン㈱統括産業医を経て現職。メンタルヘルス対策、インフルエンザ対策、放射線管理など企業における健康リスク低減に従事。現在、日系大手企業、外資系企業、ベンチャー企業、独立行政法人など約30社の産業医業務に従事。

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