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社会人なら知らないと損する「お金の常識」とは?【後編】

2017年10月04日 公開
2023年03月23日 更新

大江英樹(経済コラムニスト/オフィス・リベルタス代表)

2.運用のコストが安い

 運用のコストというのは税金と手数料のことです。普通、金融商品を購入すると必ず利息や利益に対しては一律で20%の税金がかかりますが、iDeCoの場合、その運用益に対して税金はまったくかかりません。さらに運用対象を投資信託にした場合、投資信託を持っている間、毎年かかってくる運用管理費用があります。iDeCo向けに作られた投資信託はこの運用管理費用が他の一般の投資信託に比べてかなり安いのです。これらのコストがどれくらい安くなるか、ちょっと計算してみましょう。

 先ほどの例と同様、2万3000円を30年間積み立てた場合、積立額は828万円となります。仮に年率3%で運用できたと仮定すると、運用益に対して20%かかる税金を引いた手取りの金額は1209万円になりますが、もし税金が一切かからないとすれば増えた元利合計は1339万円になります。何と、その差は130万円です。

 また、投資信託の運用管理費用でいえば、同じカテゴリーの商品でも倍近く違うことがあります。具体的な例で言えば手数料が0・23%と0・56 %とを比べると(これは実際にある例です)、先ほどの例で計算した場合、その差額は42万円にもなります。いかにiDeCoを利用して積み立てることがローコストであるかということでしょう。

著者紹介

大江英樹(おおえ・ひでき)

経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。現在、年間140を超える講演、月12本の連載を抱え、多忙な日々を過ごす。著書に『定年男子 定年女子』(日経BP社・共著)など多数。

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