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急成長する人が実践している「リフレクション」とは?

2017年10月02日 公開
2023年03月23日 更新

新井宏征(スタイリッシュ・アイデア代表取締役)

「反省」ではなく「振り返り」をしよう

ただし、「知っている」ものを使ってみても、最初からうまく使いこなせるわけではありません。失敗をするかもしれないし、思っていたほどの効果が出ないかもしれない。失敗もせず、効果は出たものの、思った以上に時間がかかってしまって、効率があまり良くないということもあるでしょう。このようにして「知っている」状態と「実践できる」状態のギャップに直面したタイミングこそが、「経験からの学び」をするもっとも良い機会なのです。

この「経験からの学び」をする際に行うのが「リフレクション(内省)」です。リフレクション(内省)という言葉は、さまざまな場面で使われる言葉ですが、今回のコラムでは「仕事における振り返り」という意味で使います。

仕事における振り返りとは、「知っている」ものを使ってみた経験から得た気づきを言語化する取り組みです。経験から得た気づきを言語化するというと、「反省」と結びつける人がよくいます。しかし、「反省」と「振り返り」は似て非なるものです。「反省」という言葉は、悪かったこと、失敗したことを明確にするというイメージがありますが、「振り返り」は決して悪かったことだけを取り扱うわけではありません。

 

「KDA」で自分の経験を振り返ると……

では、実際に「振り返り」をする場合、どのように進めれば良いのでしょうか。さまざまな振り返りの方法やフレームワークがありますが、私はKDAというフレームワークをよく使っています。フレームワークといっても決して大げさなものではなく、次の3つの観点から経験を振り返る方法です。

K:Keep「うまくいっているなどの理由で、今後も続けていくこと」
D:Discard「良くない結果につながったなどの理由で、今後はやめること」
A:Add「今回の経験から、今後新たに始めようと思っていること」

振り返りの対象となる経験を思い返して、続けること、やめること、新たに始めることの3つの観点から、思いつくものをどんどん書き出していきます。ノートのページをKDAの3つのスペースに区切って、それぞれの欄に書き出しても良いかもしれませんし、付せんを使って思いつくままに書き出してから、KDAのそれぞれに分類しても良いでしょう。

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「振り返り」はいつ、どこでやればいいのか >

著者紹介

新井宏征(あらい・ひろゆき)

スタイリッシュ・アイデア代表取締役

株式会社スタイリッシュ・アイデア代表取締役。産業技術大学院大学 非常勤講師。
SAPジャパン、情報通信総合研究所を経て、2013年より現職。シナリオプランニングやプロダクトマネジメントなどの手法を活用し「不確実性を機会に変える」コンサルティングやワークショップを提供。東京外国語大学大学院修了。University of Oxford Said Business School Oxford Senarios Programme修了。
主な訳書に『成功するイノベーションは何が違うのか?』、『プロダクトマネジャーの教科書』、『90日変革モデル』(すべて翔泳社)、主な著書に『世界のインダストリアルIoT最新動向2016』、『スマートハウス/コネクテッドホームビジネスの最新動向2015』(インプレス)などがある。

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