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やればできる。でも「最低限」しか動かない(カメルーン)

2017年10月03日 公開
2017年10月03日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(26)石澤義裕(デザイナー)

それなりに働くけど、結果への興味はゼロ

肩の力を抜くだけ抜いて、適当に仕事を流しているようなカメルーン仕事術ですが、締めるときもあります。

「見積もり→値引き交渉→雀の涙のディスカウント→集金」の流れは、一滴の陳情を受け付けないほどに緊張感が漲り、1円も見逃してくれません。

それ以外は、ゆるゆるです。
電話が鳴っていても、同僚との写メ撮りをやめないパーソナル・プライオリティ。

時間対効果の悪い、ゆるゆるな段取り。
納車の日、ボクらはアポより10分早く赴き、1時間も待たされましたが、車の鍵を渡すだけなので、所要時間は3秒。

なんなの、あの1時間!?

5時間後に出直せと言われ、懲りずに10分ほど早く行き、たっぷり1時間待たされ、鍵を返してもらうだけ。やはり正味3秒。さんざん人を待たせておいて、焼き鳥を食べたり写メを撮ったりする意味がわからんのです。

税関書類の受け取りに至っては、1日遅れ、2日遅れ、3日遅れ。イスラム教のラマダンが明けたという理由でさらに1週間。理由がなくても、さらに1週間。

出発が迫っているからと宅配便をお願いしたところ、「宅配は信用ならないから」と異常にはっきりと拒絶。
やがて催促メールに返事がなくなり、「私だって仕事をしてるのよ!」という逆ギレメールが届いた数日後、「郵送するから住所を教えてくれ」ときたもんです。

その宛先を適当に書くから、あんた、あやうく受け取れないところだったです。

それなりに働くけれど、結果に興味のないカメルーン人。
ホテルでは掃除のおばちゃんが、階段を丁寧に掃いています。
……下の段から。

その発想は斬新です。


ホテルのキッチン。ボイラーを修理してもらったら、血の海となりました。

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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