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界 津軽の「津軽三味線」

2017年11月01日 公開

<連載>続・星野リゾートの現場力(3)

役者の経験が旅館運営に活かされた

日本を代表するリゾート運営会社・星野リゾートでは、「遊び」や「楽しみ」の中に仕事のヒントを見つけたり、逆に仕事をきっかけとした趣味を楽しんだりしている社員が多いという。そのような「遊びと仕事」の融合の事例を『THE21』の誌面で紹介してきた連載「星野リゾートの現場力」を、オンライン限定連載として継続。第3回は、温泉旅館「界 津軽」より、役者として長く舞台に立った経験を持ち、津軽三味線の演者として活躍するスタッフをリポート。《取材・構成=前田はるみ》

 

封印したはずの「役者の顔」

青森県大鰐温泉に佇む温泉旅館「星野リゾート 界 津軽」。この旅館でサービススタッフとして働く清水敬一郎さんは、他にもいくつもの顔を持つ。

一つは、津軽三味線の奏者の顔だ。

界 津軽では、地域の伝統文化を紹介する「ご当地楽」として、津軽三味線の生演奏を毎晩行っている。津軽三味線の全国チャンピオンである渋谷幸平氏とともに、その手ほどきを受けた清水さんも舞台に立つ。腕前は、津軽三味線全国大会に出場するほどだ。

そして、もう一つの顔は、役者である。

10年前までプロの舞台俳優を目指し、「売れない役者生活を送っていた」という清水さん。「30歳までに芽が出なかったら、次の仕事を見つけよう」。その決意どおり、31歳のとき役者人生に見切りをつけ、パラオ共和国で見つけた旅行会社スタッフの仕事に就いた。「日本以外の価値観に触れてみたい」と飛び込んだ海外生活だった。

2年後に帰国すると、地域の魅力を引き出す独自の取り組みが面白そうだと感じた星野リゾートに入社した。
一度はあきらめた役者の道。役者とは関係のない旅館の仕事を選んだはずなのに、今はゲストの前で津軽三味線を演奏している。「演奏後にお客様からいただく拍手は、芝居が終わったあとのカーテンコールを思い出させますね」と清水さんは感慨深げに話す。

役者の経験は、普段の業務でも意外なところで役に立っている。「どのようなストーリーでお伝えすれば、魅力的に伝えられるだろうか」。ゲストに何かを説明するときは、常にこう考えながら接客している。「これも役者の頃、どんなエンディングにつなげようかと芝居の流れを工夫した経験が生かされていると感じます」

 

スタッフと奏者、二足のわらじ

清水さんは千葉県の出身だ。津軽三味線は身近な存在どころか、「地味な楽器」というイメージがある程度だった。

3年前、界 津軽へ異動になった。初出勤の前日に職場を訪れると、支配人に「これから津軽三味線の演奏をやるから、見ていったら」と声をかけられた。この時が、津軽三味線の生演奏に触れた最初だった。

「まるで音が肌に刺さるようだった」と清水さんは振り返る。その迫力と繊細さに鳥肌が立った。 程なくして渋谷氏との合奏でステージに上った界 津軽のスタッフの姿に、目が釘付けになった。自分より明らかに年下の女性スタッフだった。

「すごいな、スタッフもこんなにうまく弾けるのか――」

このとき、役者魂に火が点いた。「自分もあの舞台に立ちたい」

舞台デビューに向けて、猛特訓は約半年に及んだ。フロント業務や客室清掃、レストランサービスなど旅館の運営業務との二足のわらじである。渋谷氏直々のレッスンが週に1時間。それ以外の日は、業務終了後に1時間ほど練習するのを日課とした。

最初のうちは、練習するとすぐ手が痛くなった。だが、今では三味線にも慣れ、夢中になると3時間くらい弾き続ける日もある。津軽三味線はすっかり生活の一部になった。

「今の生活は、仕事をしているか、三味線を弾いているかのどちらかですね(笑)。三味線を弾くことで気分転換やストレス発散にもなっています」と清水さんは話す。

 

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星野リゾート/星野佳路(星野リゾート代表)


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