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複利&節税効果で老後資金を稼ぐ「投資信託」入門

2018年09月25日 公開
2023年03月14日 更新

湯之前敦(コムテックス金融商品部部長)

長期&分散型の資産運用を!

投資信託は運用をプロに任せられる点など、投資初心者向きの投資と言えるが、様々な種類があり、その違いを理解しておく必要がある。昨今話題のiDeCoやつみたてNISAの活用法も含め、ファイナンシャルプランナーの湯之前敦氏に解説いただいた。(取材・構成=塚田有香)

 

高度なスキルが不要で少額から始められる

人生100年時代の資産形成。投資について誰もが学び、実践しなければならない時代ではありますが、これまで預貯金のみだったという方は、「株式や債券を自分で選んで買うのはハードルが高い」と思われるかもしれせん。その点、投資信託は初心者にお勧めできる金融商品です。

最大のメリットは、高度な専門スキルがいらないこと。投資信託は、投資家から集めたお金をファンドマネジャーが運用する金融商品ですから、運用はプロに任せることができます。

少ない金額から始められるのもメリットです。長期で運用すれば、毎月の積立額は少なくても、複利効果で大きく増やせる可能性があります。たとえば、毎月1,000円ずつ積み立てた場合、年利0.05%(単利)の預金なら20年で24万円1,205円ですが、年利5%の投資信託(年複利)で運用すれば、20年で40万7,458円。16万6,253円もの差がつきます。後述するiDeCoやつみたてNISAを使えば、老後資金を作るのにも向いています。

このようにメリットの多い投資信託ですが、もちろんリスクもあります。運用をプロに任せられると言っても、最低限の知識は必要。そこで、投資信託を始めるうえで知っておいてもらいたいことをお話しします。

まず考えて欲しいのが、運用期間です。短期間でリターンを得るには、高いリスクをとる必要があります。一方、中長期で運用すればリスクが分散され、複利効果も大きくなります。よって初心者は、中期(3年~5年)から長期(5年~10年)の運用を考えるとよいでしょう。

ひと口に投資信託と言っても、期間とリスクの関係によって種類が分かれます。「自分は何年後に、どれだけリターンが欲しいのか」を想定したうえで、運用期間に応じて種類を選ぶことが必要です。

 

「目論見書」を読むポイントとは?

それぞれの投資信託の特徴を知るには、「目論見書」を読むことが必須です。特色や目的、投資リスク、運用実績、手数料などが詳しく記載されています。投資信託を扱う金融機関のサイトへ行けば、各商品の目論見書を閲覧できるので、これに目を通すことから始めましょう。

ただし目論見書の記載情報は非常に多いので、すべてを理解するのは大変かもしれません。そこで、投資信託の種類を選ぶポイントを押さえておくと、要点を理解しやすくなります。

一つは、「債券型」か「株式型」かに着目することです。

国債や地方債、社債などで運用する債券型は、比較的リスクが少なく安全性が高いとされますが、その代わり大きなリターンは期待しにくくなります。一方の株式型は、投資先の株価が上がれば大きなリターンが期待できますが、株価が下がれば損失が出る可能性もあります。

とはいえ、債券型でも信用度が低い新興国の国債に投資しているものは、高いリターンが見込める反面、リスクも高くなります。また株式型でも、自動運転技術やAIなどテーマ別の企業株で運用する「テーマ型」や、海外企業の株式を中心とする「国際型」など、色々な種類があります。債券型と株式型のいずれを選ぶにしても、投資対象を確認してください。

株式や債券、さらにはREIT(不動産投資信託)や金など、異なる投資対象を組み入れた「バランス型投資信託」もあります。これ一つで分散投資できるのはメリットですが、バランス型でも債券中心のものもあれば、株式中心のものもあるので、やはり投資対象の内訳を確認することが重要です。

 

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初めて購入するならインデックス型がお勧め >

著者紹介

湯之前 敦(ゆのまえ・あつし)

〔株〕コムテックス金融商品部部長

1965年、山口県生まれ。ファイナンシャルプランナー(AFP)。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。30年間、金融業界に従事。2000年以降はファイナンシャルプランナーとして、個人の資産運用、ライフプラン、住宅ローンの相談・見直し等に携わる。相談件数は1,000件以上に上る。著書に、『投資信託の超入門書』(高橋書店)などがある。

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