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「安請け合いしてほったらかす」究極のFtoF商法(ケニア2)

2019年10月09日 公開
2020年04月07日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(47)石澤義裕(デザイナー)

アフリカ脱出費用に80万!?


珍しくぼったくり価格を言わない三輪タクシー。すっかり馴染みになりました

軽自動車で地球半周中の熟年夫婦です。

アフリカに上陸して、ほぼ3年。

ケニアをうろついて、早2ヶ月。

いい加減、ヨーロッパが恋しくなってきました。

首都のナイロビから目指すとなると、エチオピアとスーダンを突き抜けてエジプトから船に乗ると、すぐ目の前はイタリアです。

スパゲティまであと一歩まで迫った感がありますが、車の関税書類がないのでエジプトに入れません。

日本のJAFに書類を依頼すると、デポジットとして80万円も預けなければならず、すでに160万円も拉致されているので担保破産しかねない我が家です。

 

怪しさ満点のフィクサー登場!

そこで、邪の道をまさぐって見つけたのが、ちょいと非合法っぽい謎のフィクサー。

フィクサーと聞くとマフィアのボス的イメージですが、官民をつなぐニッチ業界の交渉人です。

顧客目線のない役所の複雑怪奇な事務手続きにまとわりつく、いわばコバンザメです。

「車の関税書類?」

「まかせとき!」

安請け合いしてくれました。

しかし、SNSで詳細を尋ねると既読スルー。

気軽に受注しておきながら実務をほったらかすのが、ケニア人の得意なビジネススタイルです。

案件の難易度を考慮することなく安請け合いする腰の低さにケニアの経済発展が見て取れますが、面と向かって指図をされないと動かない腰の重さに、伸び悩む経済です。

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「お得意さん」すら既読スルー >

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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