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大家さんさえいなければ、居住条件は最高?(モロッコ2)

2020年06月13日 公開
2020年06月13日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(54)石澤義裕(デザイナー)

モロッコのロックダウンは小さな町から解除へ

モロッコ

モロッコでロックダウン中の軽キャンパー夫婦です。

 

最初の症例からわずか18日後に非常事態宣言を発令するなど、日本よりもよほど迅速だったモロッコのコロナ対策ですが、収束までにはほど遠い状況です。

終息するかと思えば再び感染者が増え、それが減ったかと思うと再びクラスターが、ということを繰り返しているのです

6月10日、モロッコ政府は非常事態宣言の延長を発表しました。

実に、3回目の延長となります。

モスクや公衆浴場は引き続き閉鎖され、カフェやレストランは営業を許されたものの、店内での飲食は禁止です。マスクなしの外出は、罰金か禁固刑です。

ただ今回は、地域により段階的に緩和措置が取られました。地域ごとに状況に大きな違いが出てきているからです。

ボクらのいる町エッサウィラは、外出制限がなくなりました。

ラッキーです!

 

3度目の延長でおよそ100日間のロックダウンになりますが、実は密かに「長期戦」を予想していました。

2月初旬、イタリアで感染者が急増していたとき、どこかで閉じ込められるのではないかと、びびびんと第六感が震えたのです。

そこで、当時はロックダウンなんて言葉は知りませんでしたが、たとえ身動きできなくなっても快適に過ごせる町を探したのです。

当時いたテトワン市は、世界遺産とマクドナルドがある中堅都市。街としてはなんら不満はなかったのですが、人が多いが故に不安なものを感じ、わざわざ900kmもドライブして引っ越して来たのです。

その後、テトワン市は感染者が増え続け、国内第3位のデンジャラスゾーンと化しました。

一方、わが家が選んだエッサウィラは人口8万人の小さな港町。感染者ゼロを更新し続けています。

恐ろしいほど、グッジョブ自分!です。

 

コロナに負けない「巣ごもり用」宿泊所の条件とは?

長期戦を覚悟していたので、宿泊所は巣ごもり用として厳選しました。

条件は8つ。

1 民泊

宿は、ほかの宿泊者から感染するかもしれないので。

2 Wi-Fi無料で無制限

テレビがないので、夜は動画鑑賞!

3 使いやすいキッチン

レストランが閉鎖するとは想像もしていませんでした。キッチンは生命線だったかも。

4 熱くて、湯量たっぷりのシャワー

びっくりするほど、情けないシャワーってありますから

5 大きな窓

アフリカなのに、窓がないと寒いです。

6 安全な駐車場

7 徒歩圏内に市場

8 ベランダか、ルーフバルコニー

たまに日光でもあたらないと、年寄りですから干からびちゃうので。

 

非常事態宣言が発令される前に家を見つけて、引っ越しました。

2LDKで家賃65,000円は、スペックと予算においてオーバーしていますが、日当たり最高で暖かいです。大きな食卓テーブルにパソコンを広げて、仕事に勤しんでいます。

日本のサラリーマンがリモートワークに苦労していたそうですが、ボクらは旅をはじめた15年前からのノマド。リモートワークこそが平常業務なので、なんら問題なし。

しかも普段は、軽自動車が寝ぐら。狭い車のなかで背中を丸めていたので、仕事環境は最高です。

重ねて、日本の緊急事態宣言中は仕事が激減。納期に追われずに、マイペースで仕事を進めています。

というわけで、2ヶ月間も巣篭もりしていながら、ストレスゼロ!

なんなら、冬までOK!

と、言いたいところですが、ひとつだけ想定外なことが。

残念な大家さんだったのです。

 

大家さんは、30代なかばのフランス人女性で独身。

英語が堪能で明るい人なんですが、動きが大雑把。悪く言うとガサツ。

ドアを勢いよく閉めるものだから、その音と振動がいちいちボクの心臓を止めてくれて、しかもナニしているの?ってくらいドアの開け閉めが多い。

そして、声が大きい。

とにかくでかい。

彼女の部屋は3階でうちは1階だというのに、間にワンフロアあるというのに、電話の話し声が直球で鼓膜に突き刺さるのです。

そしてどうやら無頼の寂しがり屋らしく、3日とあけずに友達を呼び、パーティ。

ただお酒を飲むだけならいいのですが、困ったことに彼女はセミプロの歌手。夜中に、ギター片手に歌うセルフカラオケ。集まってくるメンバーもミュージシャンなものだから、深夜になればなるほど宴たけなわ。パーカッションが枕を揺らします。

怒ったご近所さんが、わが家の呼び鈴を押しまくるという嫌がらせが始まったりして、ご近所さん戦争の勃発。夜間外出禁止とは思えない賑やかさなので、自粛警察さん、取り締まりをお願いします!

秋のコロナ第2波では、巣ごもりハウスの条件に「静かな大家さん」を追加します。

モロッコ

市場の様子。新鮮なイワシとイカを買って帰り、屋上でイワシを焼きました。

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