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岡部伸 慰安婦問題。誤解を解く対外発信を

2017年06月08日 公開

岡部 伸(産経新聞ロンドン支局長)

国連拷問禁止委員会は2015末の日韓合意の見直しを勧告した。沈黙するだけでは、いつまでも誤解は解けない。日本政府は最近判明した事実を元に「慰安婦は性奴隷でなかった」ことを筋立て反論する必要がある。


 日本政府は、国連拷問禁止委員会の今回の勧告(日韓合意の見直し)が韓国政府を対象としていることから、韓国側の対応を注視する方針だが、国連拷問禁止委員会が合意見直しを勧告した背景には根強い「慰安婦=性奴隷」の認識があるだけに、国際社会における慰安婦問題に関する一連の誤解を正すため、いまこそ日本政府には戦略的な対外発信が求められる。

 その意味で、2017年5月22日に日本政府がジュネーブの国連代表部を通じて国連拷問禁止委員会の事務局である国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に慰安婦を「性奴隷」と位置付けた勧告は事実に反するとして、日韓合意を見直す必要がない考えを盛り込んだ反論文を提出したことは適切だったといえる。

 日本政府は反論文のなかで、「日韓両政府が合意の履行を着実に進めることが極めて重要で、日本政府は同委員会に合意の履行を妨害しないように要望する」として日韓合意を見直す必要がない考えを明確に示した。

 慰安婦をめぐる事実関係では、クマラスワミ報告書に記載された吉田証言が虚偽だと判明して、強制連行を客観的に裏付ける史料は見つかっていない。新たに米国の米国立公文書館で朝鮮人捕虜の米軍調書が発見され、韓国人慰安婦に関して「志願したか、親に売られた人だ」との記述が発見されている。最初に日本に対する批判ありきの欧米で日本の立場の理解を求めることは困難を伴うことは間違いない。しかし沈黙するのでは、いつまでも「誤解」や「曲解」が解けないままだ。最近判明した事実を元に、「慰安婦は性奴隷ではなかった」ことを筋立てて、証拠を示しながら反論する必要がある。

 安倍政権が海外での戦略的な情報発信の拠点と位置付ける「ジャパン・ハウス」が、ブラジル・サンパウロを皮切りに英ロンドンや米ロサンゼルスでもオープンする。日本の文化や芸術を対外発信することで「日本ファン」を増やし、国際社会への発信力を高めるプロジェクトだが、日本を貶める中国や韓国の「歴史戦」に立ち向かうには日本文化や日本食を紹介する「ソフト路線」だけではなく、日本の「正しい姿」として慰安婦問題や領土問題などでの日本の立場を国際社会に発信するべきではないだろうか―─。ジュネーブの“騒動”を取材して痛感した次第だ。

(本記事は『Voice』2017年7月号、「国連拷問禁止委員会の誤解を正せ」から一部、抜粋したものです。続きは6月9日発売の7月号をご覧ください)

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