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呉善花 北朝鮮の資金源はサイバー攻撃?

2017年06月08日 公開

呉善花(拓殖大学教授)


 トランプ陣営が、ロシアと結託して大統領選挙に影響を及ぼしたとされる「ロシア・ゲート」問題でアメリカは揺らいでいます。トランプ政権の地盤が揺らぐことは、親北政策を前進させたい文氏にとっては千載一遇のチャンスです。

 文大統領は基本的に、北朝鮮は中国に依存する現状から脱し、むしろ同族国家である韓国との経済的関係を構築するべきだ、と考えています。北朝鮮との「経済統一論」を実現するにあたり、文氏はまず北朝鮮との経済協力事業である開城工業団地(2016年2月に閉鎖)を再開して、同地区を起点に「韓半島の奇跡」を成し遂げようとしています。

 しかし、北朝鮮が開城工業団地の再開を受け入れるかどうかはわかりません。金正恩が最も恐れていることは、市場開放です。市場を開放すれば国外からの人やモノ、お金の流入が増え、自身の政権が崩壊する危険性が高まります。

 金正恩が市場開放を望まないもう1つの理由として、北朝鮮がサイバーテロ攻撃に力を入れていることが考えられます。5月に世界中で大規模なサイバー攻撃が発生しましたが、これも北朝鮮の関与が指摘されています。

 じつは北朝鮮は、主に鉱山資源の売却とサイバー攻撃によって、核やミサイル開発のための資金を得ているといわれています。北朝鮮では、一部の優秀な子どもは幼少期から徹底的にコンピュータ技術を叩き込まれ、高度な能力をもつハッカー集団が養成されています。

 サイバー攻撃は発信元が特定しづらく、北朝鮮が関与した事実を隠蔽できる。正確な金額はわかりませんが、鉱山資源の収入よりも「ウイルスを解除してほしかったらお金を払え」という身代金要求型のサイバー攻撃による収入のほうが多いと見る人もいます。これが事実なら、北朝鮮が市場開放に応じる芽はないでしょう。

 文政権は北朝鮮への支援を検討していますが、その資金が核開発や弾道ミサイル開発に使われるだけの可能性は十分にあります。

(本記事は『Voice』2017年7月号、「経済停滞でまたも『反日』か」から一部、抜粋したものです。続きは6月9日発売の7月号をご覧ください)

iyashi

著者紹介

呉善花(お・そんふぁ)

拓殖大学教授

1956年、韓国・済州島生まれ。83年に来日し、大東文化大学(英語学)卒業後、東京外国語大学大学院修士課程(北米地域研究)修了。現在、拓殖大学国際学部教授。著書に『さらば、自壊する韓国よ!』(WAC BUNKO)、『日本にしかない「商いの心」の謎を解く』(PHP新書)などがある。

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