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呉善花 北朝鮮問題で韓国の出る幕はない

2017年06月29日 公開

呉善花(拓殖大学教授)

韓国の文在寅大統領は就任早々、安倍晋三首相との電話会談で日韓合意について「国民の大多数が心情的に受け入れられないのが現実だ」と伝えた。さらには、「問題解決の核心は、日本が法的責任をとって公式に謝罪することだ」「韓国との過去の歴史を解決するために、日本は最善の努力をしていない」などと海外メディアのインタビューで語っている。文在寅大統領の狙いとは。日本は、どう対峙すべきなのか。月刊誌『Voice』への寄稿に大幅加筆のうえ緊急発刊した『超・反日 北朝鮮化する韓国』の著者が鳴らす警鐘。


 北朝鮮核開発問題の解決には、日米韓の軍事的な協力が必須の要件ですが、文在寅政権には何一つ期待できません。文在寅は何とか北朝鮮にすり寄りたいわけですが、今のところはアメリカと協調していく姿勢を見せています。時間稼ぎのつもりでしょう。文在寅はとくに信念のある人とは思えませんので、このまま何も決められない状態が続くと思います。

 韓国国民のあいだには、「同じ民族だから、韓国を本格的に攻撃することはできないだろう」という安心感が広がっています。金大中政権、盧武鉉政権時代に「親北朝鮮」の国民情緒になっていますから、北朝鮮についてあまり脅威を感じていません。

 多少は心配をしている人もいますが、北朝鮮が軍事攻撃を示唆しているのは、今に始まったことではなく、これまで何度もありましたので、韓国人は脅威に慣れてしまっています。同じ民族だという安心感と、危機に慣れてしまったマンネリ化によって、北朝鮮への反応は鈍くなっています。

 しかし、そもそも金正恩は韓国のことなど相手にしていません。金正恩が交渉したい相手はアメリカです。現在、休戦状態の朝鮮戦争を終わらせ、平和協定を結びたいのです。それによってアメリカから軍事攻撃されることのない状態へ移行したい。それが金正恩の考えていることです。

 トランプ政権は対北朝鮮圧力を強めていますが、アメリカは北朝鮮からは距離があるため、ミサイルがアメリカ本土に届く段階になるまでは、アメリカ国民は危機感を覚えることはないでしょう。自分たちのところまでは届かないだろうという安心感を持っています。

 アメリカ国民も甘い考え方をしています。そういうことを見透かして、北朝鮮は核開発とミサイル開発を急ピッチで続けているのです。アメリカ本土に届くミサイルは開発中であっても、今ある北朝鮮のミサイルは日本国内にある米軍基地までは届きます。

 どんな事態を想定しているのかはわかりませんが、アメリカのマティス国防長官は、「信じがたい規模の悲惨な事態をもたらす」と述べています。北朝鮮をただ潰せばいいというものではありませんので、軍事攻撃には慎重になっているのでしょう。アメリカが北朝鮮を潰すことで、アメリカに何のメリットがあるのかが、はっきり見えていないのだろうと思います。

 文在寅大統領は、選挙に勝利したとはいえ、半数以上の国民が文在寅に投票しませんでした。韓国内にもいろいろな考え方の人がいますので、北朝鮮に対してときどき強硬な姿勢は見せるでしょう。しかし、結局は、決められないまま進んでいくのではないかと思います。

日韓合意を守らないかぎり、韓国との協議に応じるな >

iyashi

著者紹介

呉善花(お・そんふぁ)

拓殖大学教授

1956年、韓国・済州島生まれ。83年に来日し、大東文化大学(英語学)卒業後、東京外国語大学大学院修士課程(北米地域研究)修了。現在、拓殖大学国際学部教授。著書に『さらば、自壊する韓国よ!』(WAC BUNKO)、『日本にしかない「商いの心」の謎を解く』(PHP新書)などがある。

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