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屋山太郎 保守第二党の誕生

2017年08月08日 公開

屋山太郎(政治評論家)

日本の政界は〝世界標準゛に近づく

 印象操作で安倍内閣を貶めようという勢力のなかには官僚もいる。幹部人事を握られたことも癪に障るし、政権が右寄りに寄ったのも気に食わない。チャイナ・スクールなどは頭にきているだろうが、これらは皆、逆恨みの類だ。

 自民党内の中道左派も、どうしたら安倍の力を抑え込めるか、暗中模索しているのではないか。次の総理を狙う岸田文雄氏の属する宏池会は、宮澤喜一、河野洋平、加藤紘一氏らの時代は親中派の〝つくだ煮゛といわれた。麻生太郎氏は河野洋平氏を嫌って派を出た。その跡取りが岸田文雄外相だが、思想的根拠は大丈夫なのか。宏池会のDNAが密かに残っていないかが懸念される。岸田氏を脅かすのは石破茂氏だが、目下は文句爺さんにしか映っていない。

 先日、月刊『文藝春秋』誌のトップ論文で自民党の村上誠一郎氏が安倍政権について友達、同じ思想、イエスマンばかりだとけなしていた。昔は内閣にいろんな人間がいたと懐かしむ風だが、これは自民党の一党支配が続いて思想は八方破れ、河野洋平氏まで総裁になれた滅茶苦茶の無責任時代を懐かしんでいるにすぎない。1つの政党は外交、内政面でおよそ一定の範囲に収まっているのが理想だ。自民党がその理想に外れていたのは、左が天下を取っても右が取ってもしょせん天下は自民党だったからだ。媚中派の宮澤氏が天下を取ったのは、中国の真相を知ったいま、とんでもない間違いだったと気付くだろう。

 さながら哲学なき〝五目めし゛のような政党だったから、憲法改正は70年も遅れたまま。尖閣への武力侵入に対抗できる軍隊をもっているのに憲法に「自衛隊」あるいは「国防軍」という規定を書くな、という。議員外交と称して中国詣でが盛んだったが、中国式儒教を相手に人脈形成などできるわけもない。来し方に哲学がなかった。これから先の目的も定かでない連中まで集合していたのが自民党だった。安倍時代になって初めて目的を設定し、次から次に懸案を片付けているのが安倍内閣ではないか。掘っ立て小屋の周囲に初めて門扉や塀を取り付け、小屋本体にも手を入れようという時代が来た。こういう時代に意見を集約するのは大苦労だが、安倍時代に基本を固めておくべきだ。

 安倍政権は衆参4回の選挙に勝った。支持率も先日まで50%前後だった。自民党の本流を示しているのではないか。

 それぞれの分野で若干の不満をもちつつ耐えてきた人が、印象操作を受けて〝本流゛に文句を付けるチャンスと思っているのだろう。安倍政治が本質的に悪いと気付いたとすれば、支持は野党に行くはずだが、不思議にも支持率が上がった野党はない。本来なら野党第一党の民進党の支持率が1%でも上がってしかるべきだが、この党は存続さえ危ぶまれている。この現象は明らかに政界再編を催促する動きだ。

 安倍首相は来年9月に総裁に3選されたあと、秋に総選挙を行なおうとしている。この時点で民進党の前原誠司氏、日本維新の会や橋下徹・前大阪市長らが保守野党として結集するのではないか。本来、小選挙区制というものは、政権交代可能な二大政党を形成するものだが、日本はそうならなかった。いや、民主党に政権が代わったが、この党は無残に潰れた。その理由を突き詰めると憲法問題で党内の意思疎通が図れなかったからだ。国家の基本問題で一致できないのでは政党とはいえない。

 再起を期すために〝全野党共闘゛などといっているが、これこそが誤りの根源。共産党の術中にはまっている証拠だ。かつての西側陣営の共産党はソ連崩壊とともに「道を誤りました」と国民に謝罪し、党を解党している。日本共産党は解党どころか、いまだに全野党共闘などという寝ぼけたことをいっている。

 自民党に取って代わろうというなら、法案審議や議会運営で是々非々、目下の維新のような政党でなければ政権の責任はもてないだろう。来秋、保守第二党が誕生し、日本の政界は〝世界標準゛に近づくのではないか。

(本記事は『Voice』2017年9月号、屋山太郎氏の「保守第二党の誕生」を一部、抜粋したものです。続きは8月9日発売の9月号をご覧ください)

iyashi

著者紹介

屋山太郎(ややま・たろう)

政治評論家

1932年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社。2001年に正論大賞を受賞。最新刊に『それでも日本を救うのは安倍政権しかない』(PHP研究所)がある。

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