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これからの基礎自治体の広域連携



2012年06月01日 公開

寺田昭一 (政策シンクタンク PHP総研 地域経営研究センター シニア・コンサルタント)

友だちの友だちは、友だちということ 

 6月1日に、総務省の「第6回姉妹自治体交流表彰(総務大臣賞)」の表彰式が行われた。「日本と海外の自治体の姉妹自治体提携に基づく交流のうち、創意と工夫に富んだ取組を行っている団体」を表彰することを目的としたもので、神奈川県横須賀市が受賞。加えて、今回は姉妹自治交流を通じた東日本大震災の対応に特徴ある自治体も表彰されることになり、岩手県釜石市、大分県竹田市も受賞した。釜石市は、震災を契機に、表面的には途絶えていたフランスのディーニュ・レ・バン市との交流が復活、小中学生レベルでの交流を通して、利害関係を離れての絆が深まったこと、竹田市は、温泉文化を通して交流してきたドイツ・バートクロツィンゲン市が、進んで東日本大震災への支援を行ったことが表彰の理由となった。

 釜石市も竹田市も、愛知県東海市が呼びかけ、弊社が企画・運営に参画している「嚶鳴協議会」の参加自治体である。この協議会はふるさとの先人をキーワードに、互いに連携して、まちづくり、人づくり、心そだてを考えていくことを目的としている。昨年の釜石市の被災では、釜石市と姉妹都市提携を結んでいた東海市がいち早く釜石市に支援の手を伸ばすと同時に、協議会参加自治体にも情報を提供。東海市が橋渡し役となって、参加13自治体が手を携えて釜石市への支援を行った。この経験から、平時における交流のあり方、重要性の検証を行っている。その中で、竹田市の交流は一つのヒントを与えてくれている。

 竹田市は、名曲「荒城の月」のモチーフとなった城を持つ自治体として、仙台市と音楽姉妹都市交流を結んできた。一方、ドイツのバートクロツィンゲン市とは「温泉文化」を通して文化・経済・人的交流を行ってきた。東日本大震災が起こると、そのバートクロツィンゲン市から「竹田市の姉妹都市は我々にとっても姉妹都市である」と、全く交流のなかった仙台市への支援の申し出があり、竹田市が橋渡し役となって支援が実現するとともに交流の輪が大きく広がっていったのである。

 竹田市は人口2万5千人ほどの小さな自治体である。平成2年の水害のとき、音楽姉妹都市であった仙台市から支援を受けた経験もある。さらにバートクロツィンゲン市との交流は、合併前の人口3000人に満たない旧直入町時代に始めている。温泉という地域特性を大切に、ささやかではあるが、等身大の小さな交流を継続し、合併後もそれを大切にしつつ、その交流を点と点で終わらせずに輪として幾重にも広げる努力をしたことが、広がりのある、大きな絆を生み出すことになったといえよう。それは、表面的に途絶えていたとはいうものの、人々の心に生き続けていた釜石市でも同じことが言えるであろう。利害関係を超えた広域連携がこれからの基礎自治体を支える大きな柱の1つになるに違いない。嚶鳴協議会では、今回受賞した竹田市や釜石市の事例だけではなく、参加自治体の知恵と経験をもちより、連携のあり方を考えていくことになっている。

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