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沖縄県が米軍基地跡地利用計画コンペを開催 



2012年07月11日 公開

荒田英知(政策シンクタンク PHP総研 地域経営研究センター長)

 今年、日本復帰40周年を迎えた沖縄県が、記念事業の一環として「沖縄の新たな発展につなげる大規模基地返還跡地利用計画提案コンペ」を開催する。すでに返還が合意されている、沖縄本島中南部地域にある米軍6基地の跡地利用計画を広く公募するというものだ。返還対象の一つでもある普天間飛行場の移設問題が暗礁に乗り上げている中で、今回のコンペを実施することにいかなる意義があるのか考えてみたい。

 沖縄県にある駐留米軍用地に関しては、1996年の日米政府による特別行動委員会(SACO)と2006年の日米安全保障協議委員会(SCC)によって、キャンプ桑江南側地区(北谷町)、第1桑江タンクファーム(北谷町)、キャンプ瑞慶覧の一部(沖縄市他)、普天間飛行場(宜野湾市)、牧港補給地区(浦添市)、那覇港湾施設(那覇市)の6施設、合計面積では1000ha~1500haが返還されることが決まっている。

 これらの米軍施設がある沖縄本島中南部地域には、17の市町村があり圏域人口は115万人を数える。県土の2割ほどの面積に県民の8割近くが暮らす稠密な都市空間を形成しているのである。この集積を一体的な100万規模都市として機能させ、近隣諸国との都市間競争に勝ち抜いていくことは、沖縄の将来戦略として極めて重要である。しかし現実は、基地により土地利用が分断され、一体化が阻まれている。沖縄にとっての基地返還問題は、「危険性の除去」と同時に、将来に向けての「フロンティア空間の確保」でもあることがわかる(拙稿「沖縄の都市戦略からみた普天間問題」参照)。

 こうした観点から、沖縄県では今年3月に「中南部都市圏駐留軍用地跡地利用広域構想(案)」をまとめた。これまでに実現した跡地利用が、いずれも商業機能と住宅用途に偏る傾向があったことをふまえ、広域的な視野で個々の地域特性を生かした利用構想を持つことが、沖縄全体の発展に欠かせないという問題意識が背景にある。

 今回のコンペは、「構想案を具体的な計画に前進させていくため、コンペで多方面から計画案を募る」との位置づけで進められる。興味深いのは、応募資格を「国籍、年齢、所属、資格、経験等は問わない」としていることだ。構想案を理解したうえで具体的な計画案を提案してもらいたいことはもちろんであるが、それには高い専門知識が求められるから応募者は自ずと限定されてしまう。しかし、沖縄の基地問題を都市空間の視点からさまざまな人に再認識してもらうためには、応募者の幅を広げることが望ましい。

 そこで、コンペは2次にわたって行なわれる。第1次提案の応募期間は7月13日から9月14日までで、作品は「A3版3枚以内」で自由に描くことができる。審査基準をみると、「課題の理解」「相互の役割分担」「広域的な観点」など具体性を求める一方で、「ユニークさ」「次世代への夢」「インパクトの強さ」など訴求力の高さも要件としている。後者に着目すれば、初めて沖縄に関心を持つ本土の学生なども応募が可能だろう。

 8月3日には、応募予定者を対象とした現地視察会も行なわれる。1次審査では20作品程度の入選作を選び、そのうち5者に本格的な第2次提案作成を求める。来年1月に最終審査結果を発表し、入賞作品の展示会で締めくくりとなる。一連の取り組みは、コンペという手法を用いた沖縄からの新たな情報発信とみることができる。どれだけ注目を集め、どのような作品が寄せられるか、今後の推移を注視したい。

<参考> 沖縄県HP「沖縄の新たな発展につなげる大規模基地返還跡地利用計画提案コンペ」

<研究員プロフィール:荒田英知>☆外部リンク

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