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“論理力”を鍛える読書…「使われる人」を脱するのに必要な“仮説検証”

2012年10月03日 公開

成毛眞

マイクロソフト日本法人の社長を経て投資コンサルティング会社を設立、ほかにもさまざまなベンチャー企業の取締役や顧問を務める成毛眞氏。

「もともと論理思考は得意だった」という成毛氏からみて、論理力のある人とない人とでは、どのような違いがあるのだろうか。<取材・構成:前田はるみ/写真:まるやゆういち>

※本稿は、『THE21』2012年10月号総力特集より、内容を一部内容を抜粋・編集したものです。

 

論理力を発揮すべき「TPO」を見極めろ

「私が立ち上げた書評サイト『HONZ』のスタッフをみると、論理力が高いかどうかは、サイエンスのノンフィクションの書評が書けるかどうかに表われています。論理力がある人は、おそらく、本の要点をつかむのが上手なのだと思います。

本で述べられている事象を客観的にとらえ、本質的な論点を探る力に優れています。一方、論理力がない人は、客観的な事実関係よりも、気持ちや感情を重視しがちです。

感情というバイアスがかかるために、本質的な論点がみえにくくなるのです。その代わり、感情の起伏に寄り添えるので、小説の書評には向いているといえるでしょう」

成毛氏いわく「論理思考ができるかどうかは、その人の資質によるところが大きい」が、できるものなら少しでも鍛えたいものだ。そのためにはどうすればいいのか訊ねると、「サイエンスのノンフィクションをひたすら読むこと」を勧めてくれた。

「たとえば、『チェンジング・ブルー』(大河内直彦著/岩波書店)や『眠れない一族――食人の痕跡と殺人タンパクの謎』(ダニエル・T・マックス著/紀伊國屋書店)、『ノアの洪水』(ウィリアム・ライアン、ウォルター・ピットマン共著/集英社)などがお勧めです。

こうしたサイエンスのノンフィクションを10冊、20冊と読めば、論理力に不可欠な言語能力が自然と鍛えられていくでしょう。サイエンスのノンフィクションがいいのは、学者が仮説を立て、それを検証し、証明するというプロセスに沿って話が展開されるからです。

たとえば『ノアの洪水』は、2人の海洋地質学者が黒海の海底を掘削して、仮説と検証を繰り返しながら、ノアの箱舟の話のモデルになった大洪水が実際にあったことを立証していく話です。

黒海の海底を掘ると、ある地層から下では淡水に棲む貝しか発見されないことから、7000年ほど前までは黒海は淡水湖だったと彼らは仮定します。その淡水湖がどのようにできたもので、なぜ現在のような海になったのか。

その過程でどのように洪水が起き、淡水湖の周りに住んでいた人びとにどのような影響をもたらしたのかを、仮説と検証を延々と繰り返しながら明らかにしていくのです。

こうした本を読むことは、『仮説→検証』の一連のプロセスを身につける訓練になりますから、論理力を鍛えるには最適です。

そして、この『仮説→検証』のプロセスは、実際のビジネスでも大事なものです。たとえばマーケティングや宣伝において、できる人であれば、『このターゲットにこの値段なら売れるのではないか』といった仮説を立ててから、実行に移しているはずです」

成毛氏が何十冊もの本を読むことを勧めるのは、論理力は一朝一夕で身につくものではないからだ。論理思考や論理的な話し方のコツを学んだからといって、すぐにできるようになるものではなく、習得までには相当の訓練が必要だという。

「論理力を鍛えるのは、スポーツの練習と同じです。野球が上手くなるためには素振りの練習が欠かせないように、論理力を身につけるにも、『仮説→検証』のプロセスを繰り返すしかありません。そのためには、サイエンスのノンフィクションを、1冊だけでなく、できるだけ多く読まなければなりません。

そう考えると、論理力を鍛えるという点では、ビジネス書はあまりお勧めできません。なぜなら、たいていのビジネス書は、結論が先に書かれているからです。

たとえば、3色ボールペンの活用を勧める本があったとします。3色ボールペンの効果について『仮説→検証』のプロセスを書かず、いきなり『3色ボールペンをこのように使うと効果的です』といった結論から書かれている。これでは論理力を養う訓練にはなりません。

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