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ビジネスマンの「間違いだらけの座り方」

2012年10月30日 公開

木津直昭 (KIZUカイロプラクティックグループ代表院長)

デスクワークの際は負荷の分散を意識する

 では、そうした「間違った座り方」を脱却し、「正しい座り方」を心がけるには、どうしたらいいのだろうか。

 「先ほどもお話ししたように、どのような座り方であっても身体にとっては負担になります。したがって、ほんとうは長時間座り続けるということ自体をできるだけ避けるのが望ましいのです。とはいえ、多くのビジネスマンにとってそれはなかなか難しいことでしょう。ですから、オフィスワークの際は、できるだけ身体に負担をかけない座り方を習得する必要があります」と木津氏。では、それはいったいどのような座り方なのか。

 「身体に負担をかけないよい座り方というのは、身体の軸が頭の頂点から耳を通り、背骨から坐骨まで一直線になっていて、腰の負担が最小限に抑えられている座り方のことをいいます(図4)。椅子の座面と背中面がL字型を描いて身体が支えられ、脊柱のカープが正常になっていると、重力が分散されて腰の負担は軽減されます。オフィスではこの姿勢が維持できるように、椅子の高さやパソコンのモニターの位置、電話機の場所などを見直していくといいでしょう」とのこと。しかし、一般的によいといわれているこの姿勢にも、注意点があるという。

 「たしかにこの座り方をすれば腰への負担はより少なくなりますが、この姿勢を長時間維持するには、背骨の周囲の筋肉が緊張し、筋肉や関節に負担を与えることになります。ですから、『ポスチャーチェンジ』といって、意識的に座り方を変えることが必要です」

 といっても、大きく座り方を変えるというわけではない。図5のように、タオルを使用して負担がかかる部位を調整することで、負担が1箇所に集中するのを避けることができる。こうすれば、長時間のデスクワークを続けたとしても、身体にかかる負担をより少なく抑えることができる。

身体の構造を活かせばラクに正しく座れる

 そして木津氏によれば、基本の身体に負担をかけない座り方をさらに発展させた、究極の「身体にいい座り方」があるのだという。

 「『丹田座り』と私は呼んでいるのですが、戦国武将が陣地で、大きく開脚して背筋を伸ばして座っている様子をイメージしてください。自分で真似していただけるとわかると思いますが、へその下にあるといわれる『丹田』が、どっしりと落ち着くような安定感を覚えるはずです。(図6)

 この座り方は、図2の悪い座り方の例のように、ラクになろうと、身体をどこかに乗せているということがありません。それは、人間がもっている重力に対する素晴らしい構造をうまく利用した座り方だからです」

 人の身体がもつ重力に対する素晴らしい構造とは、骨盤のアーチ構造のこと。ご存じのように、アーチ構造は橋などに利用されるほど、上からの重みに対して強い。このアーチを意識して、しっかりと地面に足をつけて、腰を反らせずに背筋を伸ばして座れば、腰の筋肉や関節、内臓にも負担をかけずに身体を支えることができる。

 「このアーチ構造を意識すると、人間の体に正常な軸が必要なことを理解していただけると思います。アーチ橋の一端の柱を少しでもずらした状態を想像してみてください。ほんの少しずらしただけでも橋は倒壊してしまうでしょう。人間の身体も同じで、正常な軸があるからこそ、バレエダンサーのように飛んだり跳ねたりすることも可能になるのです」

 巷で見かける路上に座り込む若者や、電車のつり革にぶら下がるサラリーマンは、この身体の軸がずれてしまっていて、そのズレが蓄積した結果、正しい姿勢を保つことができなくなっているのではないかと木津氏は危惧する。私たちビジネスマンも、1日のなかで座っている時間の長さを考えたら、「たかが座り方」とは決していっていられない。ぜひ一度、自分の座り方を振り返ってみてはいかがだろうか。

 

木津直昭

(きず・ただあき)

 KIZUカイロプラクティックグループ代表院長

1962年、東京都生まれ。日本カイロプラクティックカレッジを卒業後、オーストラリア公立マードック大学健康科学部カイロプラクティック・スポーツサイエンス学科を卒業。東京・日本橋で KIZUカイロプラクティックを開業し、ビジネスマンやアスリートをはじめとして、幅広い年齢、職業の人たちの治療に従事。オフィスやIT環境が姿勢などに及ぼす影響について警鐘を鳴らし、知識とノウハウの啓蒙に力を入れている。著書に、『パソコン、スマホで筋肉が癒着する!』(グリーン・プレス)がある。

 

THE21

 

BN



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