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あの「名経営者」はどんな教養を身につけてきたのか?

2014年08月05日 公開

勝見明(ジャーナリスト)

偉人の教養

名経営者、プロビジネスマンと呼ばれる人ほど「教養」がある……多くの人がそのことを実感しているはずだ。だが、なぜ彼らは「教養」を身につけようとしたのか。そしてそれを現場でどう活かしているのかは、なかなか見えてこない。

数々の名経営者たちへの取材経験を持つジャーナリストの勝見明氏に、名経営者たちはどんな教養を身につけ、それをどう活かしているのか、解説してもらった。

※本稿は『THE21』2014年8月号より一部抜粋・編集したものです。

 

稲盛和夫(京セラ名誉会長・日本航空名誉会長)/中国古典

「動機善なりや、私心なかりしか」。JAL(日本航空)再建を要請されたとき、稲盛和夫氏(現同社名誉会長)はこう自問した。稲盛哲学は中国古典や仏教思想に支えられる。中でも孔子や孟子が説いた「人間として正しいことを行なう」という「徳」の精神が中核をなす。

要請を受諾したのも、JAL没落を日本の姿と重ね、再建を成功させることで、日本再生へと希望をつなぐためだった。

稲盛氏はJALの社員全員にフィロソフィ教育を行ない、「徳」の精神を説いた。これも「思念は業をつくる」という仏教思想に基づく。人間の思いは「業(=ものごとの原因)」をつくり、それが現実世界に結果として現われてくる。だから、善いことを思い、善い行ないをすれば、必ず善い結果が生まれる。

計画を上回る黒字を出し、V字回復を果たしたのも、アメーバ経営(部門別採算管理)に加え、再生に向けた社員たちの思念の結実に他ならなかった。

■稲盛和夫
1932年生まれ。1959年に京都セラミック(京セラ)を創業、世界的大企業に育て上る。KDD Iの経営や日本航空再建にも携わる日本屈指の名経営者。

 

孫正義(ソフトバンク社長)/孫子

中国古典の中でも「孫子」を決断の基準にしているのがソフトバンク社長の孫正義氏だ。

24歳で創業後、肝炎で入退院を繰り返す失意の日々の中でむさぼり読んだ。とくに実践したのが「勝ち易きに勝つ」の教えだ。戦いが上手な者は勝ちやすい状況を作ってから戦う。だから、「算多きは勝ち、算少なきは敗る」、つまり、計画や準備が勝利をもたらすのだと。

創業当初はソフトウェアの卸業だったが、ソフトメーカー業界1位のハドソン、家電販売店大手の上新電機と独占契約を結び、必勝の陣組みをしていった。

2006年の1兆7,500億円を投じたボーダフォン買収による携帯電話事業参入も、「無謀」に見えたが、独自にネットワークと顧客基盤を構築するより、はるかに「勝ち易きに勝つ」方法だった。「成功率7割ならやるが、3割を超えるリスクは冒さない」が持論だが、勝算7割の状況を自ら作る。これが孫子に学んだ孫流の手堅さだ。

■孫正義
1957年生まれ。アメリカで学んだ後、ソフトバンクを設立。携帯電話参入などにより一大通信企業を作り上げ。海外企業の買収も積極的に仕掛ける。

 

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