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星野リゾート・星野佳路 いくつになっても柔軟な発想を忘れない

2014年11月05日 公開

星野佳路(星野リゾート代表)

『THE21』2014年11月号より》

 

 「リゾート運営の達人になる」ことを目標に掲げ、従来の日本旅館の枠にとらわれないユニークな試みで国内の観光業界に新風を巻き起こしてきた星野リゾート。社長の星野佳路氏は、いつもラフな格好でリラックスして取材に応じる姿が印象的だ。この独特なスタイルにも、斬新な発想と果敢な挑戦を生み出している秘訣があるのだろうか。

 

意味のないことをやめて身軽になる

 私の習慣は何だろうと改めて考えてみると、何かを「する」のではなく、「しない」ことを決めることかもしれません。たとえば、ゴルフをしない、会合しない、時計を持たない、スーツを着ない、社用車に乗らない、社長室がない……。自分がやっていることの1つひとつについて、ほんとうに大切なのか、意味があるのかを考えて、やらなくてもいいことはやめるようにしています。

 スーツは2~3年かけて着るのをやめました。1998年頃ですから、日本でクールビズが叫ばれるようになる遥か前に、超クールビズを実践していたわけです。スーツ着用をやめたのは、スーツを窮屈に感じていかことと、日本の気候に合っていないと思ったのが理由です。

 もっとさかのぼると、20代でアメリカの大学院に在学中、フォーマルな席にスーツ着用で出席したところ、「なぜお前はスーツなんだ」と言われたことがありました。クラスメートがみな自国の衣装を着用する中で、日本人の僕が西洋の洋服を着ているのはおかしいと指摘され、とても恥ずかしい思いをしました。世界の人から見れば、日本人にスーツは似合わないし、期待されてもいない。いつかスーツはやめようと思いました。

 帰国して会社を継ぎましかが、さすがに銀行にラフな格好で行くのはマズイかと思い、金融機関に出向くときだけはスーツ着用を続けていました。しかし、それも徐々にやめていったところ、周りも慣れていくようで、意外に平気でしたね。

 つき合いでのゴルフや会食も同じです。これらはビジネスのネットワーク作りには必要だ、という意見もあるかもしれませんが、ネットワークが本当に自分のパフォーマンスに好影響を与えるのかはずっと疑問でした。あちこち顏を出してネットワーク作りに励んでも、すぐに成果が出るわけでもないので効率が悪い。だったら、興味のない会食や、得意でもないゴルフにわざわざ行く必要はないだろうと思いました。

 意味のないことをやめると、精神的に身軽になれます。仕事は、ただでさえストレスフル。だからといって、ストレスフルな仕事をすべてやめるわけにはいきません。そのような中で自分のパフォーマンスを高めていくには、ストレスコントロールが不可欠です。意味のないことをやってストレスを感じるのは、極力避けるのが賢明です。

 

世界の最先端に触れて自分に刺激を与える

 自分にとって意味のないことをやめていくと、そのぶん、やりたいことに時間を割く余裕が生まれます。僕が大事にしているのは、自分に刺激を与える時間です。ネットワーク作りや会食をやめて、代わりに自分にとって新しい情報や刺激を与えてくれる人や場所を積極的に求めるようにしています。

 最近は、海外のカンファレンスに参加しています。この夏も、サンフランシスコで開催されたインターネット関連のカンファレンスに出席しました。インターネットは私の専門ではありませんが、新しい情報に触れるのは刺激的で楽しく、また収穫もありました。

 なぜ専門外のインターネットだったのかというと、私は普段から仕事で接する人に、世界のどこに情報源があるのかを尋ねるようにしていますが、インターネットの専門家たちが教えてくれたのが、このカンファレンスだったのです。

 専門分野は違えど、世界の最先端で活躍する人たちの発想や考え方に触れると、自分たちがどれだけ遅れているのかわかります。また、将来の行き着く先の姿も見えてきます。私たちが世界で戦っていくには、何を選択し、どこに集中すべきなのか。そのためには何をやめるべきなのか。カンファレンスに集まる最新の情報やニュースは、経営における選択と集中を判断する際の参考になります。

 ちなみに去年は旅行関係の大コンベンション、その前はワールドスパサミットに参加しました。毎年違ったテーマを選ぶことで、新たな刺激を得ています。

 

発想を得るには散歩がお勧め

 毎日の習慣としては、健康のため欠かさず散歩をしています。1万5000歩が1日の目標です。昼間の移動はできるだけ車や電車を使わないようにして、昼のうちに7000歩を歩くようにしています。そして、残りの8000歩は夕食後の散歩で達成します。30分で約3000歩なので、8000歩なら大体1時間から1時間半くらいでしょうか。結構な時間だと思うかもしれませんが、会食すれば3時間はかかります。会食をやめれば、散歩の時間はいくらでも生まれるというわけです。

 散歩をしていると、デスクに座っているときには思いつかないような、いいアイデアがひらめくことがあります。これは、散歩することで脳が活性化されるからだと聞いたことがあります。また、私は毎日違うルートを歩きますから、視覚的な刺激があるのも発想にはいいのかもしれません。パソコンを入れたリュックを背負って歩くので、途中でいいアイデアを思いついたときは、通り道のワインバーに寄り、忘れないうちにパソコンに打ち込むこともあります。アイデアや発想を生むには、散歩が向いていると思います。

 散歩のほかにも、睡眠時間と体重を毎日管理しています。歩数と睡眠を計測記録するツールとアプリを活用しているので、毎日の推移が一目瞭然。睡眠時間は7時間が目標です。

 日々の体調管理は、経営者だけでなく、ビジネスパーソンにとっても重要だと思います。私の仕事は、新しいマーケティング活動を考えたり、リゾートのコンセプトを発想したりすることですが、これらは公式を使えば答えが出るものではありません。斬新なアイデアやひらめきを得るには、パフォーマンスを発揮する心技体が必要です。自分自身にいろんな刺激を与え、散歩や十分な睡眠で体調を整えるようにしています。

 「疲れたな」「眠いな」と思いながら会議に参加しても、役割を果たすことはできません。スタッフに役立つアドバイスをしたり、新しい見方やアイデアを提示して議論を活性化させたりするには、思考の状態も体調も万全でなければならないと思います。

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