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“疲れ”の自己管理はビジネスパーソンの必須スキルだ



2014年12月08日 公開

裴 英洙(メディファーム顧問、医師)

『THE21』2014年12月号より》

 

医師兼起業家のハードワーカー直伝!

「若い頃のように働こうとすると身体がついてこない」「昨日の疲れが残ったまま出勤する日が増えた」……。そう感じているビジネスパーソンは少なくないだろう。“疲れ”の正体はどういうもので、どう対処すればいいのか?医師であり、そのうえビジネススクールを首席で卒業して起業もしたというハードワーカー・裵英洙氏に、医学的な観点と自身の経験をもとに、お話をうかがった。
<取材構成:西澤まどか/写真撮影:まるやゆういち>

 

疲労感なき疲労が最も危険!

 ビジネスパーソンとして、また現役の医師として、仕事のパフォーマンスを追求してきた裵英洙氏がたどり着いたのが、“疲労のマネジメント”という考え方だ。歳を取り、体力が低下しても、疲労はマネジメントできる。まずは、そもそもなぜ疲れるのかを説明していただいた。

 「疲労には、“肉体的”“精神的”“神経的”の3つの種類があります。肉体的な疲れとは、身体を動かした際に生じる疲れ。精神的な疲れとは、人間関係などから来るストレスなど。最後の神経的な疲れとは、目や耳、脳の疲れを指します。見落とされがちですが、パソコンでの仕事を長時間続けたり、集中力を長く保ったりすると、神経も疲れるのです。

 また、疲れは歳を取るほど顕著に現われるようになります。それは、どうしても筋力、神経、消化力など、至るところが弱ってくるからです。

 しかし、工夫すれば、疲れは予防や回避ができるものです」

 疲れない人はいない。まずはそのことを認めて、策を練るしかない。

 疲労の回復方法は、個々人によって適したものが異なる。だが、1つだけ、万人に共通する方法がある。休みを取ることだ。

 「身体はきわめてシンプルにできています。働いたぶんだけ休ませれば回復するのです。どの疲れにも休養は有効。ですから、業務の合い間や週末などには、疲れていなくても、予防的に休みを取るべきです。頭では疲労を感じていなくても、身体が疲れているケースがあるからです」

 徹夜をしても疲れを感じなかった、という経験はないだろうか。逆に、とくにハードな仕事をしたわけでもないのに、疲れを感じることもあるだろう。疲れは意欲に左右されるのだ。

 「医学的に“疲労”と“疲労感”は、区別されます。やり甲斐や達成感を感じると、疲労が脳によって隠されて、疲労感を感じないのです。火事場の馬鹿力と呼ばれますが、人間は疲れていても働けます。締め切りが目前に迫ると、ピリピリ、ハラハラしつつも頑張れます。この気力によって疲労が隠されている状態は、実は危険です。

 たまになら、このような働き方もいいでしょう。しかし常に馬鹿力を出していたのでは恐ろしいことになります。私はたくさんの患者さんを見てきて実感しています。本人は疲労感がなくても、身体の奥底には疲労がこびりつき、最後には大きな反動を生むのです」

 日々の睡眠不足や食生活の乱れが、心筋梗塞やうつ病などを突然発症させることもある。また、ストレスが蓄積すると、がんを患う可能性もある。“疲労感なき疲労”を回避するためにも、先回りして休むことが重要だと言う。

 「ビジネスは長期戦です。もし大きな反動が来た場合、30年間働けるところを、20年間で終えてしまうかもしれません。それを回避するためには、戦略的な体調管理が必要です。

 私は定期的にノー残業デーを設けています。家族と過ごしてリラックスしたり、疲れが溜まっているときは安静にしたりして、回復に努めています」

 週末の休みの他に、有意義に使いたいのが昼休みだ。短時間の昼寝を裵氏は勧める。

 「私は場所さえあれば身体を横たえて休みます。神経と内臓の疲れを取るためです。目を閉じ、目と脳を休めることは、神経の疲れに手っ取り早く効きます。

 また、横になると全身が心臓と同じ高さになり、血液がすみずみの臓器まで流れやすくなります。血流の改善は、身体の各部位に滞った疲労物質を洗い流し、内臓への血流も増加させます。とくに疲労との関係が深いのが肝臓。身体の毒素である疲労物質や不純物は、肝臓に集まって分解されます。横になることで、肝臓の血流が約30%向上すると言われています。

 私は、疲労のマネジメントでまず重要なのは肝臓を守ることだと考えています。疲れたら肝臓を労わること。つまり、血流を良くして、十分な水分と良質なタンパク質を摂取することが基本です。

 ですから、昼寝といっても眠りに落ちなくてもいいのです。目を閉じて横になるだけでも疲労回復になります」

 内臓を労わるという意味で、休日の寝溜めもある程度有効だ。

 「休日にたくさん寝ることの良し悪しはいろいろと議論されています。私は、身体が疲れているなら、寝溜めもアリだと思います。安静にすることで、内臓の回復につながるはずです」

 

疲労の管理方法は仕事の進め方と同じ

 疲労のマネジメントの第一歩は計画的に休暇を取ること。次にするべきことは何だろうか。

 「よく、『何かお勧めの疲れ対策はないか?』と聞かれます。でも、人によって置かれた環境は千差万別ですから、対策の方法も人によって異なってきます。自分で試行錯誤を繰り返すしかありません。

 重要なのは、『なんとなくダルい』と感じている疲れを、『なんとなく』のままにしておかないこと。いつから、そして、どの程度なのか。疲労のマネジメントも仕事と同じで、ファクトを集めて、それをベースにソリューションを考えるべきです。

 私が疲労のマネジメントのために行なっているのが『カラダ手帳』をつけることです。どれくらい寝たか、食欲はあるか、排便は順調か……など、体調をデータベース化します。自分だけが理解できればいいので、○や×など記号で手帳に書き込むだけです。

 ビジネスのサイクルにもよりますが、1~2カ月間記入を続けると、体調のパターンが“見える化”できてきます。そこから自分なりの解決策を考えます」

 『カラダ手帳』のコツは、仕事で使うスケジュール帳に書き込むこと。コンディションの把握と同時に仕事を調整するためだ。

 「記録をつけた結果、私は出張先ではあまり眠れず、その後のパフォーマンスが優れないことがわかりました。そこで、『眠れないものは仕方がない』と諦めることにしました。その代わり、出張後には、あまり頭を使う仕事を入れないと決めました」

 自分で仕事を選べないビジネスパーソンでも、仕事の配分の調整は可能だろう。また、『カラダ手帳』をつけることは仕事人生の基礎を作ることにもなる。

 「健康管理を他人任せにする人もいますが、それはビジネスパーソンとして二流です。

 ビジネスパーソンのコアバリューはなんだと思いますか? 自分の身体と頭ではないでしょうか。一流の人は、自分のリソースを自分で管理して磨き、さらに高みを目指します。これこそ、仕事人のあるべき姿だと私は思います」

 

裵 英洙

(はい・えいしゅ)

メディファーム〔株〕顧問/医師/医学博士/MBA

1972年生まれ。金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)首席修了、フランス・グランゼコールESSEC大学院留学。慶應ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社・メディファーム〔株〕を設立。

 


<掲載誌紹介>

2014年12月号

<今月号の読みどころ>「若い頃は夜遅くまで働いても大丈夫だったのに、最近は翌日に疲れが残る……」。 ちょうど40歳くらいを境に、そんなことを感じ出す人は多いはずです。 このままでは仕事のパフォーマンスが落ちるだけでなく、病気のリスクも高まります。 どこかで「長時間労働」や「ストレスフルな働き方」を見直すとともに、食事などにも気を配り、自分の体調を「マネジメント」する必要があるのです。 本特集では「仕事術」と「健康術」の両面から、ビジネスマンの「疲れ解消」について徹底的に掘り下げます。「疲れた」が口グセの人は必読の一冊です!

 

THE21

 

BN



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