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東大卒の作家が考える「大切なことは学業から学べない、は本当か?」

2018年04月19日 公開

田丸雅智(ショートショート作家)

学業には、人生のヒントも創作のヒントも満ちている

こうして、ショートショートの世界に誘われていったわけなのですが、学業でやってきたことは、創作をする上でそのまま応用できました。

高校時代、ぼくは塾には通わず、学校の宿題のほかは独学で勉強をしていました。

自分に足りないものは何か。それを補うには、どうすればいいのか。考えたことを実行し、結果をもって振り返る。そしてまた、足りないものを徹底的に考える。

三年間、ひたすらそれを繰り返しました。

人生に塾はない。生意気な青二才ながら、当時のぼくはそう嘯いていました。

塾を否定する気はまったくありません。ただ、受験には塾という指針があっても、その後の長い人生には正しい解き方など存在せず、答えだって誰も教えてくれやしない。ならば、塾を盲信するのではなく、いまのうちから学業を通して自分で考え実行する力を磨いておかねば。そう考えて自身と向き合いつづけました。

学業を通して、ぼくは様々なことを学び、身に着けることができたと思っています。

努力とは、どういうことを指すものなのか。挫折とは、どんなものか。どん底からはい上がるというのは、どういうことか……。

挙げはじめればキリがありません。

自分は何にやる気を感じ、何にやる気を失くすのか。やる気のないときにどうコントロールすれば気持ちは上向きやすいのか。

客観的に考えて、自らに問いつづけました。

これらを理解し実行していることと結果が伴うことは、また別の問題だということも学びました。とは言いつつも、それによって目標達成の可能性は遥かに上がるということも学びました。

と、すべてを分かった気でいると傲慢を招き、足元をすくわれかねないのだということも学びました。

この学業での経験を、ぼくはすべてそのまま創作活動、延いては日常生活に応用し、いまがあります。それらは別々のものではなく、本質的には同じものだという感覚もずっとあります。

ときどき、学業からは人生で本当に必要なことは学べないと耳にします。ですが、本当にそうなのでしょうか。

もちろん、部活や趣味など、学業以外のことで得るものも非常に大きいと思います。人によっては学業が肌に合わず、そちらから多く、あるいはすべてを学ぶ方もいるはずです。

ただ、ぼくは学業から「も」、ちゃんと人生で大切なことを学ぶことができる。そう主張をしたいのです。頭ごなしに学業を否定して、応用できるタネを逃すのはあまりにもったいないなと思います。

(次ページ:「小説家なのに」という固定観念に惑わされない)

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