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「ある公立高校の奇跡」ー国公立大の合格者を18倍に激増させた“探求学習”

2019年04月23日 公開

茂木健一郎(脳科学者)

脳が喜ぶ勉強法
(写真:片桐圭)

<<「これまでの日本の教育のままでは、世界で戦えない」「AI時代に、活躍できる人材に育たない」とよく言われます。では、今後求められているのは、どのような勉強法なのでしょうか。

脳科学者である茂木健一郎先生に聞きました。>>

※本記事は、PHP新書『本当に頭のいい子を育てる 世界標準の勉強法』(茂木健一郎著)の内容を抜粋・編集したものです

 

探究学習を経験した子は、試験の成績も上がる

「記憶力や知識量」を問う日本の偏差値重視の教育は、時代遅れであることは否めません。AIに仕事が代替されるこれからの時代には、「思考力・判断力・表現力」が必要になってきます。

これらは地頭の良さが問われるもの。この地頭を良くするのが、教育改革期の今、注目されている「探究学習」であると、僕は近著『本当に頭のいい子を育てる 世界標準の勉強法』(PHP新書)にて紹介しています。

探究学習とは、「能動的な学習」「答えを導き出すための力をつける学習」です。自ら設定した課題に対して、仮説を立てたり情報を集めたりして、主体的にその答えを探っていきます。

結論に導くこと自体が学習なのです。しかしながら、非常にもどかしい状況なのですが、今の時点では、探究学習などの成果は受験において評価してもらえません。いずれそうなるかもしれませんが、今は過渡期なので「記憶力や知識量」が問われます。

過渡期ということは、探究学習も受験勉強も両方やらなければならないわけです。これは、大変だ……と思うかもしれませんね。ところが、探究学習を経験した子は、学校の成績も上がります。

 

探究で国公立大合格者が18倍になった「堀川の奇跡」

それを見事に証明してみせたのが京都の公立高校、堀川高校です。2002年に、前年度六人だった国公立大学現役合格者が、いきなり106人になり、京都大学にも6人合格しました。この出来事は、「堀川の奇跡」といわれ、たびたびメディアに取り上げられました。

堀川高校の国公立大現役合格者が約18倍に増えたのは、なぜなのか。

1999年4月、堀川高校では教職員たちの教育改革によって、探究科が設置されました。探究科では、生徒たちの興味や関心を引き出す探究学習を導入し、楽しく学べる学校を目指しました。

そして探究科の一期生が卒業した2002年に、国公立大現役合格者が前年の約18倍になったというわけです。今では、普通科・探究科、現・浪合わせて50名から70名弱が京大や東大に進学していると聞きます。堀川高校の進学実績などを含めた飛躍は、明らかに探究学習の結果です。

以前、僕はテレビの取材で、当時堀川高校で校長先生をされていた荒瀬克己さんにお話を伺ったことがあります。今回、近著の取材のため、堀川高校を実際に訪れ、探究学習をしている高校2年生の生徒たちに「探究学習をやることが受験勉強にどのように影響すると思うか」を聞きました。

男子生徒の1人は、「自分が好きなことを探究するため、主体性が養われるし、探究課題についての知識もいっぱい身について楽しくなる。

そのモチベーションと主体性を持ったまま受験勉強に取り組んでいけると思うので、来年の受験もうまくいく気がします」と語ってくれました。

ある女子生徒は、「探究学習に取り組んでからは、勉強の仕方が変わりました。今まではただ教科書を読んで知識を吸収していくだけだったんですけど、ある事柄がわからなかったら、調べてさらに深く追究するようになった。

そうすると、受験勉強もただ知識を詰め込むだけの味気ないものじゃなく思えてきて、楽しく勉強できるようになりました」と答えてくれました。

堀川高校の生徒たちのほとんどは、探究学習を通して受験勉強も楽しめるようになったようでした。

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養老孟司さんも堀江貴文さんも、「探究」を実践していた? >



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