佐々木俊尚 ヴァーチャルの進化が企業にもたらす変革とは

「VR」は我々の仕事や生活にどんな影響を与えうるのか。テクノロジーについて豊富な知見を持つ作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏にうかがった。
2019年05月28日 公開
「船橋屋」を知っているだろうか。東京・亀戸に創業1805年の歴史を持つ和菓子屋で、看板メニューの「くず餅」は、芥川龍之介や永井荷風、西郷隆盛などに愛されてきた。まさに「老舗」の企業が、いま若者から注目を集めている。その理由が、“若手を主役”、“イノベーション”などまるでベンチャー企業のようなカルチャーが浸透していること。毎年、数名の採用枠に17000人が応募する人気企業となった。
本稿では、8代目当主を務める渡辺雅司社長の新著『Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。』から、船橋屋の過去から今までの変遷をご紹介していく。(写真提供:株式会社船橋屋)
「船橋屋」は、江戸時代の文化二年(1805年)から東京下町・亀戸天神境内で「くず餅」を作ってきました。有り体な言い方をすれば、「老舗和菓子屋」です。
亀戸で200年以上、変わらぬ味で商いをしてきましたので、東京やその近郊の方たちからは、「子供の時から食べています」「祖母が大好きでした」など、ありがたいお言葉をかけていただいています。
その一方で、それ以外の地域にお住まいの方たちからすれば、「船橋屋」と聞いてもピンとこず、いったい何を売っているのかさえもご存じないという方がほとんどです。
なぜかというと、私たちの「くず餅」は、他に似たものがまったくない唯一無二の和菓子なので、イメージを抱きにくいからです。
くず餅と言うと、「ああ、関西でよく見かける」と返されますが、じつは私たちの「くず餅」は、関西に多い「葛餅」とはまったく異なる製法で作られた食品です。
「くず餅」は小麦粉からグルテンを取り除いたでんぷんを、木樽で450日もの間、自然発酵・熟成した、「和菓子で唯一の発酵食品」であり、出来上がった「くず餅」は常温で2日しか日持ちしません。現在は通販で遠方の方もお買い求めいただけるようになりましたが、それまでは東京近郊の方たちしかべることができない「生もの」でした。
ところが、この亀戸天神の参道にある和菓子屋「船橋屋」が、最近では、全国の方々にも急速に認知されてきました。
私自身、講演などで招かれる機会が多いので、日本各地に足を運ぶのですが、「船橋屋」と名乗ると、「知っています!」とか「ああ、あのくず餅の」などお声をかけていただくことが格段に多くなっているのです。
それは、2018年8月に「JR東日本おみやげグランプリ」で総合グランプリに輝いたことに加え、何よりも同年11月に「カンブリア宮殿」(テレビ東京)で取り上げていただいたからです。
そのなかで、私と「船橋屋」を《創業1805年の老舗和菓子店 伝統と革新の……「幸せ」経営術》として、取り上げていただいたことで、全国区の知名度を得ることができたのです。
では、「カンブリア宮殿」は、なぜ私たちのように、2日しか保存がきかない「くず餅」を東京下町で販売してきた小さな和菓子屋を取り上げたのでしょうか。理由は、タイトルにあった《「幸せ」経営術》にほかなりません。
番組ホームページに掲載されている3項目の見出しを引用しながら、簡潔にご紹介いたします。
①「老舗和菓子店が挑むイノベーション」
じつは私たちは、「くず餅」以外にもさまざまな商品を展開しています。「船橋屋」と言えば、「くず餅」! これが定番の人気商品であることは間違いないのですが、さまざまな世代の方々にも「くず餅」の魅力を知っていただくため、積極的に商品開発をしているのです。
その一例が、番組でも取り上げていただいた「くず餅プリン」。
小麦でんぷんを用いた「日本一手間のかかる発酵プリン」は、「和」と「洋」が融合したまったく新しい味ということで、若いお客様のみならず、幅広い層の支持を得ています
②「社員の自主性が活かされる会社へ!」
弊社では、私が独断で何かを決めることはほとんどありません。目指す方向性は定めますが、基本的に社員・パートの方々がそれぞれに考え、「船橋屋」をより良くするような施策を話し合いの上決定し、それを実行に移してくれています。
この「自主性」は組織運営にも当てはまります。最もわかりやすい例が、「リーダーズ総選挙」です。船橋屋のリーダーは、私が任命するのではなく、社員・パートたちの投票によって行なわれます。
そうして選出されたのは当時33歳の女性社員。彼女は今も執行役員として、私とともに「船橋屋」をより良くするために奮闘してくれています。
「老舗の和菓子屋」のイメージとはかけ離れた自由闊達な雰囲気や、社員の自主性に任せる働き方は、「カンブリア宮殿」で取り上げられる以前から、メディアなどでも多く伝えられていたので、ありがたいことに「船橋屋」で働きたいという声が非常に多く寄せられています。就職活動シーズンになると、約1万7000人の学生が就職希望に訪れるようになりました。
③「くず餅の菌で、健康に!?」
これは私たちが発見した「くず餅乳酸菌R」のことです。じつは発酵食品である「くず餅」には、植物性乳酸菌が豊富に含まれていることがわかっています。
研究機関に調査を依頼したところ、この「くず餅乳酸菌R」を摂取した腸内の「善玉菌」の割合に改善が見られたのです。さらなる研究により、現在では「くず餅乳酸菌R」を用いたクリニック専用サプリメントを発売するほか、機能性表示食品の開発も進めています。
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2020年はまさに「コロナ」に振り回された年だった。多くの企業が危機に陥り、厳しい状況は今も続いている。だが、経営コンサルタントとして数多くの企業を指導している小宮一慶氏によれば、この厳しい状況を飛躍のバネとしている企業も多いという。
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