ホーム » 経営・リーダー » 江戸創業の老舗企業が“33歳の女性”を役員に抜擢して「社内に起こったこと」

江戸創業の老舗企業が“33歳の女性”を役員に抜擢して「社内に起こったこと」

2019年05月30日 公開

渡辺雅司(船橋屋 代表取締役八代目当主)

くず餅で知られる老舗「船橋屋」本店。創業は江戸時代に遡る。

「船橋屋」を知っているだろうか。東京・亀戸に創業1805年の歴史を持つ和菓子屋で、看板メニューの「くず餅」は、芥川龍之介や永井荷風、西郷隆盛などに愛されてきた。

まさに「老舗」の企業が、いま若者から注目を集めている。その理由が、“若手を主役”、“イノベーション”などまるでベンチャー企業のようなカルチャーが浸透していること。毎年、数名の採用枠に17000人が応募する人気企業となった。

ミレニアル世代の活用に悩む企業は少なくない。そういった企業にとって、船橋屋の取り組み事例が若手社員の定着のヒントになるだろう。

本稿では、8代目当主を務める渡辺雅司社長の新著『Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。』から、若手を抜擢する人事制度「リーダーズ総選挙」について紹介する。(写真提供:株式会社船橋屋)

 

「社内選挙」でリーダーを選ぶ

老舗のくず餅屋「船橋屋」には入社希望の若手が殺到している
(写真=船橋屋の新年会の様子。活躍した社員・パートは表彰される)

「船橋屋」という組織が、利益や拡大を企業目的とせず、「幸せ」につながる「楽しい‼」や「ワクワク‼」ということを何よりも大事な判断基準として運営されていることをご理解いただくのに、最適な制度があります。

「リーダーズ総選挙」です。

「船橋屋」において、私が一人で執行役員などの幹部を決めることはありません。正社員と勤続5年以上のパートの方たちに匿名で投票をしてもらって選んでいるのです。これは「幸せ」という判断基準に基づく制度です。

想像してみてください。人間としても同僚としても尊敬できないような人が、ただ社歴が長いからという理由だけで、自分の上司になったらどうでしょう。おもしろくないですし、不満が生まれるでしょう。

経営者である私がトップダウンで幹部を選出するよりも、働く人たちが納得して選んだ人間を幹部にしたほうがはるかに楽しく、ワクワクしながら、「幸せ」に働けると思いませんか。

この「リーダーズ総選挙」はこれまで過去2回実施されています。第1回の時には佐藤恭子という女性社員が過半数を獲得して、「船橋屋」のナンバー2である執行役員に就きました。

彼女は現在も企画本部長として、イノベーションやSNS戦略などの「船橋屋」の重要な経営課題にリーダーシップを発揮して挑んでくれています。

また、2回目の選挙では、社員の支持を集めた6人を部長職・課長職に抜擢しました。ちなみに、6人中2人はまだ20代の若者でした。

こうした制度に対して、「社員たちの『好き・嫌い』で出世できてしまうなんて、これまでコツコツと真面目に働いてきた人間の努力が報われなくて可哀想だ」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

これまでの選挙で多くの支持を得た社員たちに共通するのは、「誰もが納得する」社員だということです。単に愛想が良かったり、交友関係が広いとかではなく、日頃の働きぶりや努力している過程を誰もが知っていて、誰もが認める実績のある人間です。

みな自分たちのリーダーになる人間なので、ちゃんと普段の姿を見て評価しているのです。

次のページ
33歳の女性社員がナンバー2に! >



関連記事

編集部のおすすめ

“ヤンキー”だらけの職場が大変身 新卒1万7千人の応募が殺到する老舗 「くず餅屋」

渡辺雅司(船橋屋 代表取締役八代目当主)

あなたのマネジメント大丈夫? モチベーションを失った若手・中堅社員の生の声

沢渡あまね(業務改善・オフィスコミュニケーション改善士)

見えてきた「新卒採用だけ」の限界 天才たちは大学すら卒業せず"億万長者"に

橘玲(たちばなあきら:作家)

日本最大級の癒しイベント出展社募集中

WEB特別企画<PR>

WEB連載

アクセスランキング

WEB特別企画<PR>

WEB連載

日本最大級の癒しイベント出展社募集中
  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

ホーム » 経営・リーダー » 江戸創業の老舗企業が“33歳の女性”を役員に抜擢して「社内に起こったこと」

×