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「官邸直轄のスパイ機関」内閣情報調査室の“狭き門”

2019年06月28日 公開

今井良(元民放テレビ局警視庁キャップ)

 

組織としてスパイを養成する方法とは?

平成初期に内調に採用された男性スパイによると、内閣情報調査室に入ると、スパイ教育の初歩としてまず叩き込まれるのが情報収集法だといいます。日常的な情報の中に重大な情報が埋もれている。

だから「情報のシャワーを浴びる」ことをルーティンワークとしなければならない。幹部からはこうしたマインドを実践とともに徹底的に叩き込まれます。

内調の情報収集は、官邸が求める「情報関心」(知りたい情報のテーマ)から始まります。内閣情報調査室のトップである内閣情報官は、最低でも週に2回、総理とサシで面会し懇談します。

この「定例報告」で情報関心が示されることが多い。内閣情報官は、その情報関心を各部門の統括役である主幹にそれぞれ伝えて、主幹から各部の班に情報収集のミッションが下されるという流れです。

 

収集すべきは「公刊情報」と「人的情報」

情報収集法としてスパイたちがまずトレーニングされるのは、「公刊情報」の収集です。新聞、テレビ、週刊誌、月刊誌、インターネット。一般の人も入手可能な、ありとあらゆるメディアのどんな些細な情報も拾い上げます。そのため、内調関係者はマスコミにさまざまな情報収集ルートを開拓しています。

次に重要なのは「人的情報(ヒューミント)」を得ることです。内調スパイが、秘密情報へのアクセスが可能な専門家などからヒューミントを得る場合には、その相手に対して「信用調査」を必ず行います。その上で、スパイが対象者に接近して、情報提供するようリクルートします。

 

内調の仕事は「週刊誌の編集長」!?

集められた膨大な情報は、各部門のトップである主幹に集約され、分析されます。その過程は、以下のようになります。

例えば、「テロリズムの脅威」が情報関心であったとしましょう。内調国際部門では、担当班40名が各自2,500件の情報を集めました。40名のスパイ(内閣事務官)は現場の情報を、具体的には「テロの兆候」「テロの標的」「テログループ」というカテゴリーに振り分けていきます。

さらに、上級職である5人の内閣情報分析官が、「化学兵器」「生物兵器」「核兵器」「テロリストネットワーク」など、自らが専門とする領域に分類・スクリーニングしていきます。そして、最後は国際部門主幹(内閣参事官)が自らの経験に基づいた直感によって検討し、内調トップの内閣情報官に報告されます。

ある内調関係者は、「内調の仕事は何にたとえられるか」との問いに「週刊誌の編集長のようだ」と答えたといいます。

テーマごとに膨大な情報を収集して、経験をもとに精査しながら結論を導き出していく力は、たしかにマスコミの取材編集職や経営コンサルティング業などに近いと言えるのかもしれません。



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