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学生に大人気の老舗企業が実践する「努力と頑張り」の否定

2019年07月01日 公開

渡辺雅司(船橋屋 代表取締役八代目当主)

 

「努力」や「頑張り」は成果につながらない

そのようなお悩みに答えるべく、「船橋屋」の「人財開発」についてお話しするにあたり、そもそも「人財」にまつわる、ある大きな誤解を解いておかなければいけません。

それは「成果」です。

組織を成長させる「人財」というのは、仕事に対してきっちりと「成果」を出してくれる人、そう捉えている方も多いのではないでしょうか。事実、私がこれまで相談を受けてきた経営者の方たちのなかにも、「『人財開発』の目的は『成果』を出すため」とおっしゃる方が圧倒的に多い印象でした。

しかしながら、これではうまくいきません。「成果」を出すどころか、さらに、「人財」が組織から去ってしまう恐れもあります。なぜなら、「成果」が生まれるプロセスを真逆に捉えてしまっているからです。

船橋屋流・仕事における成果の概念図

上図は、私が「船橋屋」の社内イベントや外部の講演で必ずご紹介する、仕事における「成果」の概念図です。

まずAのケース。社員や組織のメンバーが頑張る、努力をする。つらくても、根性やチームワークで苦難や障害を乗り越える。それが「成果」につながって、社員やメンバーは幸せになれる。これが世間一般で言われている「成果」が得られるま
でのプロセスでしょう。

「人財開発」について、お悩みの社長やリーダーたちの多くがこのような考え方をお持ちです。ですから、私への質問も、最初のとっかかりである「努力」や「頑張り」に関するものが非常に多く、「どうすれば社員を頑張らせられますか」「どうすれば根性のある社員に育ちますか」といった質問をなさるのです。

ただ、私はこの質問に返答することはできません。「船橋屋」では、「努力」や「頑張り」が成果につながるとは考えていないからです。むしろ、われわれの「人財開発」は、まず「努力」や「頑張り」を否定するところからスタートします。

 

まずは、社員が「幸せ」を享受する

「船橋屋」は「幸せ」を目的とした「Being経営」を基にして運営されています。もちろんそれは楽しく遊んでいればいいということではなく、「くず餅」に関わるすべての人を「幸せ」にするというミッションのため、個々がワクワクしながら「成果」を追い求めています。先ほどの図でいうBのケースです。

私たちの成果は大きく分けると4つに分かれます。

 ・売上の最大
 ・コストの最小
 ・時間の最短
 ・品質の最適

見たところ、よその会社とそれほど大きな違いはないでしょう。しかし、私たちがほかの組織と決定的に異なるのは、これらの「成果」を成し遂げる過程とシステムです。

「場の力」ができていると、社員はいつもワクワクした状態で仕事に臨むので、自然なかたちで業務に取り組めます。当然、自主的にさまざまな工夫が生まれ、それが成果につながるのです。船橋屋が10年間で6倍の経常利益をあげられるまでに成長したのも、この流れをつくれたことがすべてです。

そこに、「根性を見せろ」とか「歯を食いしばれ」などといった外圧的な力は存在しないのです。もちろん、成果が出れば、給与の公平評価や各種表彰も待っていますので、社員は会社を信頼してトライできるのです。

私は常々、「Being経営」を一言で言い表すなら、お父さんの「会社に行く後ろ姿」と「ゴルフに行く後ろ姿」が一致することだと言っています。

休日にゴルフに出かける時のワクワクする気持ちで、平日の仕事も行ってもらいたい。そんなお父さんの後ろ姿を見た子供は、「働くことは素晴しい」と考えるでしょう。こういう子供が増えることは、将来の日本全体にとっても良いことではないですか。

このような話をすると、「仕事がうまくいけば結果、幸せになるんだから同じことだ」ということをおっしゃる方もいらっしゃいますが、それは大きな誤りです。

まず先に頑張りありきという「昭和の根性論」は、組織を疲弊させます。当然、ミレニアル世代の若者たちには受け入れられるはずもなく、人財の流出と同時に採用にも大きく影響してくるのです。

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