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麹町中学校長の危惧「叱るほどに、子どもが感情をコントロールできなくなっていく」

2019年12月26日 公開

工藤勇一(千代田区立麹町中学校長)

 

親が手を貸すのなら叱るのは意味がない

家庭でも同様に、優先順位の低いことであれば、過剰に口を出す必要はないと思います。

何を優先的に叱るかは、各家庭によって異なるでしょう。服を泥まみれにしてくると叱られる家庭もあれば、むしろ喜ばれる家庭もあります。

私の妻は後者の人間でしたから、息子たちはどんなに泥だらけになっても、叱られたことはありません。

どちらが正しい、間違っているということではなく、親が気にすることが、その家の概念となっていくのです。

また、子どもを叱りながらも、最終的に親が手を貸すのであれば、叱る必要はないのではないかとも思います。

たとえば、服を脱ぎっぱなしにされることが嫌なお母さんと、服を脱ぎっぱなしにする子どもがいたとき、服を脱ぎっぱなしにせず、きちんと整理できる子になってほしいと切に願うのであれば、約束をつくり、子ども自身が片付けるまでは放っておくことです。

たとえすぐにできなくても、片付けた行為をほめてあげればいいし、もし何度言っても片付けを忘れるのなら、忘れないようにする工夫を自分で考えつくように、助言してあげればよいと思います。

最終的にはお母さんが片付けてしまうなら、子どもが主体的に服を片付けようという気持ちは生まれなくなるはずですから、そのことで毎日叱り続ける必要はありません。子どもを叱る前に、お母さんが片付けてしまうほうがいいのではないでしょうか。

家庭が無駄に険悪な雰囲気になることを、わざわざする必要はないのです。

 

「親基準」の線引きで叱らない

「叱る」ときの基準について、もう少し詳しくお伝えします。

大切なのは、叱るときに「親基準」にならないようにすることです。

親が自分のなかで勝手に「ここまでは許す」「ここからは許せない」と線引きをして、その線を越えたら子どもを叱るというやり方をすると、どこかでひずみが出るでしょう。

たとえば、2人兄弟のご家庭の場合。

「親基準の線引き」で叱る・叱らないを考えると、兄弟でも能力差はあり、できること・できないことに個人差がありますから、もし片方の子だけできないことが多かったとすれば、一方だけがやたらと叱られ続ける、ということになりかねません。

また、発達に特性のある子どもは、感情のコントロールが他の子どもたちよりも苦手なことが多いです。それなのに、「親基準の線引き」で判断すれば、その子は叱られ続けることになってしまいます。

自分の子どもにはついつい感情的になってしまったり、その感情を引きずったりしてしまうという方もいらっしゃるでしょう。

でも、叱るときには一度冷静になり、叱られる本人、つまり子ども基準で伝え方を考えていただきたいのです。

厳しく叱るということは、けっして感情的に声を荒らげることでも、脅すことでもありません。もちろん体罰をふるうことでは断じてありません。

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