PHPオンライン衆知 » 生き方 » 子どもへの「早く起きなさい!」の言葉が危うい理由

子どもへの「早く起きなさい!」の言葉が危うい理由

2021年03月19日 公開

水野達朗(大東市教育委員会教育長),山下真理子(家庭教育アドバイザー)

 

否定的なコミュニケーションは自己肯定感が失われるきっかけに...

お母さんのイライラは朝だけではありません。

毎日毎日、おやつを食べる前には「手洗いうがいをしなさい!」と言っているのに親がいちいち言わないとしない。

宿題にすぐにとりかかってほしいのに、ランドセルは廊下に置きっぱなし。食べたおやつのゴミは散らかしっぱなし……。

ちゃんと育てようという思いが強い親御さんであればあるほど、イライラは募るのではないでしょうか。

親だって学校でがんばってきたわが子をねぎらってあげたいし、今日学校であった出来事を笑顔で聞きながらお話ししたいですよね。しかし、気がついたら

「それはダメ。こうしなさい」
「何度言ったらわかるの?いい加減にしなさい」

と口うるさく言ってしまっていませんか。

このような否定的な交流のことを「マイナスのストローク」といいます。

マイナスのストロークとは存在や行動を否定的に表現する関わり方です。子どもが健全に成長していくためには親子の良質なコミュニケーションが重要です。

家庭教育では自分の存在を肯定してくれるような「プラスのストローク」が大切なのです。

プラスのストロークとは、先ほどのマイナスのストロークとは逆で、存在や行動を肯定的にとらえる交流を意味します。

とくに小学校低学年の時期はプラスのストロークが心の栄養となり、自己肯定感を育んでいく土台となります。

逆にマイナスのストロークが日々蓄積されていくようなコミュニケーションが親子間で日常的になってしまうと、子どもの心の中で、

「お母さん私のことキライなのかな」
「私なりにがんばってるのにパパは認めてくれない」
「私はダメな人間なんだ」

と、自己肯定感が失われていくこともありますので、注意が必要です。

 

親も失敗して当たり前

いざ意気込んで家庭教育への取り組みを始めようとしても、これまで「子どものためによかれと思って」やってきたことを変えなければいけないというのはたいへんなものですよね。

それが少し意識を変えればいいということだけではなく、時には根本から180度変えなければならないとなればなおさらです。

よかれと思ってやってきたことが、実は子どもにとっては毒になっていたのかもしれないと認めるのは、愛情深い親御さんたちにとってはショックなことだと思います。

お母さんもまさか朝の声かけひとつからこんなに指摘されることになろうとは夢にも思わなかったことでしょう。

しかし、このような状況にいたっているご家庭は実際多いのです。

個々にご夫婦のカウンセリングを行ったうえで、アセスメント(分析・見立て)をし、具体的にどこをどう変えていけばいいのかのアドバイスをすると、

「でも先生、他の家庭の話もママ友のつながりで聞くことがありますが、どこの家庭も起きなさいよー、という声かけで起こしているって聞きますよ。私自身も昔はそうやって起こしてもらっていたように思います」

という質問が返ってくることがあります。

実際、このご家庭のように声かけをして朝起こしていたとしても、問題は起こらないという家庭もあります。

親が特別に対応を変えなくても、知らず知らずのうちに子どもが失敗を経験しながら成長し、ひとりで起きるようになっていくような子どもたちもいます。

そういったお子さんであれば、ここまで親が試行錯誤しながら対応をとってあげる必要はないのかもしれません。

しかし、目の前のお子さんを見ていて

「とても繊細だなぁ」
「なんだか他の子に比べて幼く見えるときがあるなぁ」
「なんでも親を最初に頼ろうとするところがあるなぁ」

と感じられている場合は、わが子に適した家庭教育のあり方を再構築していくことはとても大切なことだと思います。

もちろん、最初は

「え。そんなことも子どもに影響を与えていたの?」
「いままで感覚的にしてたことがマズかったの?」

と文字どおり打ちのめされることでしょう。

しかし、誰からも教わらずに掛け算をできるようになる人がいないのと同じように、親御さんも最初はたくさん失敗して当然。

そこから学んで成長していくのだという姿を、まずは親御さんの背中で見せていきましょう。

 

関連記事

編集部のおすすめ

開成高校の元校長が教える、「思春期のイライラ」との上手な付き合い方

柳沢幸雄(北鎌倉女子学園園長)

子どもが問題行動をピタリとやめる「ひと言の質問」

工藤勇一 (千代田区立麹町中学校長)

「周囲の評判ばかりを気にする親」に縛られ続けた子の悲劇

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2月開催!!ハッピーウーマンオンラインセミナーシリーズ-Dr.クリスティンペイジ

WEB特別企画<PR>

アクセスランキング

WEB特別企画<PR>

2月開催!!ハッピーウーマンオンラインセミナーシリーズ-Dr.クリスティンペイジ
  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

ホーム » 生き方 » 子どもへの「早く起きなさい!」の言葉が危うい理由

×