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偏食・小食の「食べない子」を「笑顔で食べる子」に変えるルール

2022年03月30日 公開

山口健太(一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会代表理事)

山口健太
(イラスト:こたきさえ)

極度の小食や偏食の「食べない子」を専門にした食育カウンセラーとして、これまで全国で3000人以上の保護者を指導してきた山口健太さんは、誰でもすぐにできるコミュニケーションの工夫で、多くの子どもの小食・偏食を改善に導いてきました。

子どもの小食・偏食をなおすためには大人の意識改善が必要だと語る山口さんは親の4つの「しすぎ」を捨てるべきだと指摘しています。

※本稿は、山口健太・著『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

好き嫌いは「悪」ではない。まずは大人が意識を変えて

まずとても大切なのが、「好き嫌いなく、何でも残さず食べられる」ようになる必要はないということです。もちろん、「栄養をしっかり補えているかどうか」を見るのは、親としてとても大切なことです。

しかし、「好き嫌いなく、たくさん食べられる子の方が良い」という価値観はとても危険です。自分に対してはまだしも、子どもや他人に食を押し付けてしまうことになりかねません。押し付けられてしまえば、子どもが自分から楽しく食べられる未来が遠ざかってしまいます。

そもそも、嫌いなものが多いからといって、社会的に活躍できないわけでもありません。

食事による体づくりが大切なスポーツの世界ですら、野球だとイチローさん、サッカーだと中田英寿さん、体操では内村航平選手、フィギュアスケートでは宇野昌磨選手、テニスでは大坂なおみ選手などは、野菜があまり好きではないようです。ですが、その世界で大活躍していることは周知のとおりです。

要は、その人の食の個性を周りが理解することが一番大切なのです。

「全部食べられる子」を目標とする必要はありません。何度もお伝えしている通り、「楽しく食べられる子」になることが最優先です。

ただ、「残したものがもったいない」と思う方も多いと思います。この考え自体は、自然や命の恵みを大切にする気持ちや、食材・料理を作った方への感謝の気持ちですから、とても尊重すべき考え方だと私も思います。

しかし、そのように考えられるのは、その人が既に食に対して前向きなイメージを持っているからなのです。だからこそ、自分から「食材は大事にしよう」「もったいないから食べよう」という、素敵な意識が生まれるのです。

それは決して押し付けから生まれるものではありません。「もったいない精神」を押し付けることで、未来に自然と出てくるはずの「もったいない精神」を犠牲にする可能性があるということです。

よく「野菜を残すと農家さんが悲しむからちゃんと食べなさい」という勧め方がありますが、その押し付けによって、子どもがその野菜を嫌いになってしまった方が、農家さんも悲しむのではないでしょうか。

「楽しく食べられる」土台があれば、自然と命の恵みを大切にし、作ってくれた人たちへの感謝が芽生える子になりますから、心配はいりません。

 

食べない子が変わるために、親が手が手放すべき4つの「しすぎ」

「食べない子」が変わるために、まずは保護者自身が「自分にはどの「しすぎ」の傾向があるか?」を考えてみましょう。私はこれを「大人の4つの「しすぎ」」と呼んでいます。具体的には次の4点です。

1 イライラしすぎ
2 不安になりすぎ
3 プレッシャーのかけすぎ
4 放置しすぎ

「イライラしすぎ」は、子どもが食べてくれないことでイライラしてしまい、食卓がギスギスした雰囲気になり、子どもがさらに食べなくなるというケースです。「楽しい」があっての「食べられる」ですから、これでは食は進みませんね。

「不安になりすぎ」は、子どもが食べないことを、必要以上に心配しすぎるケースです。大人の不安が子どもにうつり、余計に食べなくなってしまいます。もちろん、子どもが食べないと不安になる気持ちはよく分かります。それ自体は悪いことではありませんので、本書でその不安を解消していきましょう。

「プレッシャーのかけすぎ」というのは、たとえば「これくらい食べなさい」という圧力が、その子のキャパシティを超えてしまうケースです。

2018年6月に静岡県で当時小学6年生の児童が、担任から給食の牛乳を飲むよう強制されてPTSDを発症したとして、家族がその小学校を管轄する町に対し、250万円の慰謝料を求める訴えを起こしました。

この一件からも分かるように、子どもにプレッシャーをかけすぎると、食事のトラウマから精神障害を起こすこともあります。実際、私が会食恐怖症の642人に取ったアンケートでは、4分の1に当たる162人が「親からの食の強要が会食恐怖症の発症のきっかけになった」と回答しました。

「放置しすぎ」というのは、特に偏食がちな子が少しでも食べるように「好きなものしか食卓に出さない」などのケースです。これでは食べられるものがいつまでたっても広がりません。

子どもの体質だけではなく、この「大人の4つの「しすぎ」」が原因で食べられない場合が、思っている以上に多いのです。「食べない子」が変わるために、まずは大人がこれらの「しすぎ」を自覚し、そして手放しましょう。それが、「食べない子」が「楽しく食べられる子」に変わる第一歩です。

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