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再燃するか、道州制論議



2012年04月23日 公開

荒田英知(政策シンクタンク PHP総研 地域経営研究センター長)

 政権交代以来、議論が低調になってしまった道州制であるが、ここに来て息を吹き返そうとしている。その火付け役となったのは、橋下徹・大阪市長が率いる「大阪維新の会」の国政進出を睨んだ動きである。3月10日にスタートした「維新政治塾」で示された「維新八策」には、最初の項目に「統治機構の作り直し」として大阪都構想とともに道州制が掲げられた。全国から2000人を超える塾生を集めた維新の会の動向は、国政にも影響を与え始めている。

 3月29日、みんなの党が「道州制への移行のための改革基本法案」を参議院に提出した。「わが国の国のかたちを新たなものに転換することが喫緊の課題となっていることに鑑み」、「国が本来果たすべき役割に係る事務を除き、国が所掌する事務を道州に移譲」し、「道州が自主的・自立的に役割を果たせる地方税・財政制度を確立」することが基本理念である。加えて、施行後2年以内に必要な法制上の措置を講じ、7年以内に道州制に移行するという目標時期を示している。維新の会との連携を模索するみんなの党が、他党に先んじて手を打ったと見ることができる。

 これに先立つ3月27日、自民党も道州制推進本部の総会で、「都道府県を廃止して10程度の道州を設ける」とした道州制基本法案を今国会に提出する方針を確認した。ここで示された骨子案は、総理の諮問機関として道州制会議を置き、3年以内に答申を受け、その後2年以内に必要な法整備を行なうとしており、みんなの党案と同様のプログラム法案となっている。

 もともと自民党はマニフェストに道州制の導入を掲げており、4月9日に発表した次期マニフェスト原案にも基本法の早期制定を明記した。同じくマニフェストに道州制導入を謳っていた公明党も、次期マニフェストの骨格とする「日本再建」の中で、「国のカタチを再建」するとして「地域主権型道州制」の実現を打ち出している。

 一方で、全国の地方自治体の首長も動き始めた。道州制に積極的な知事や政令市長が「道州制推進知事・指定都市市長連合」を組織し、4月20日に設立総会を行なったのである。発起人には、石井正弘・岡山県知事や村井嘉浩・宮城県知事らが名を連ねており、9道府県知事、15政令市長が参加して、地方から道州制論議を盛り上げていく。

 今後、参加者は増えるものと思われるが、発足時点で知事の47人中9人に比べて、政令市長が20人中15人と多いことが興味深い。現在、全国に20ある政令指定都市では、都市の将来像として「特別自治市」の研究を進めている。政令市の自立性をさらに高めることが主眼だが、その場合には府県の空洞化が促進される。基礎自治体を代表すると自負する政令市の立場からも、府県の再編という問題意識が待ったなしであることがうかがえる。

 消費税増税関連法案の審議に時間が費やされる見通しの今国会で、道州制基本法案が審議される可能性は限りなく小さい。また、民主党政権が進める地域主権改革のうち、道州制にもつながりうる国の出先機関の廃止問題の進展も芳しくはない。しかし、その先に待っている解散総選挙を視野に入れれば、道州制が大きな争点となるばかりでなく、政界再編の軸になる様相すら帯びてきたといえるだろう。

 

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