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自治体に問われる「再生可能エネルギー事業戦略」



2012年05月02日 公開

佐々木 陽一 (政策シンクタンク PHP総研地域経営研究センター 主任研究員)

 4月24日、再生可能エネルギーの買い取り価格が、経済産業省の有識者会議「調達価格等算定委員会」で示された。買い取り価格は、エネルギーの種類や発電能力に応じて発電力1kwh当たり13.65円~57.75円、注目の太陽光は42円となった。買い取り価格や条件の決定で、7月の買い取り制度のスタートに向けた最大の課題が解決されたことになる。発電事業者側の要望に近い価格水準になったことで事業者側は、収支計画を立てやすくなった。その一方で、買い取りを地域経済の成長にどう結び付けていくのか、旗振り役となる自治体の戦略は未だ定まらない。

 再生可能エネルギーの全量買い取りは、太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスの5種類の発電量を電力会社に一定期間、固定価格で買い取ることを昨夏国会で成立した特措法で義務付けられたものである。住宅での太陽光発電については全量買い取りとせず、居住者が使う分を除いた余剰発電分を電力会社に買い取らせる現行制度を10年間維持する。

 では、10年間で地域社会にどれだけの売電収益が生まれ得るのだろうか。人口27万人で、年間着工新築戸数が2千戸のある地方都市をモデルとして試算してみた〔余剰電力の売電収入額は、10.6万円/年(「調達価格等算定委員会」資料)、新築一戸建の太陽光発電の導入率は、17.5%(住宅金融機構「住宅取得に係る消費実態調査」)とした〕。その結果、太陽光発電による10年間の売電収益は、新築一戸建分の総計で約20億円となった。利益率が6%ならば1.2億円の利益が生まれることになる。中古、集合住宅や風力など他エネルギー分も加われば、地域全体ではより大きな売電収入と利益が見込め、それだけ地元経済への波及効果も期待できる。人口や産業の流出などで疲弊する地域経済にとって、その経済効果は小さくないのではないか。

 買い取り価格が決定したとはいえ、主に大都市の域外資本が地方に高度かつ高額な再生可能エネルギー設備を納入、維持するだけでは、地元企業は活躍できず雇用も生まれない。地域経済の活性化に必要なのは、地域社会が主導的に関われその経済効果を享受できるモデルである。だが、実際にそうした経済モデルを戦略化している自治体は、長野県飯田市や高知県など極めて少数だ。

 こうしたなか、4月20日に弊社が開催した地域経営塾プレ講座「地域主導型再生可能エネルギー事業の興し方」では、「金銭支援」「知恵・仕組み提供」などの自治体が果たすべき役割について話し合われた。「発電方法」「実施主体」「事業規模」「資金の出し手」の各事業要素の組み合わせ次第で課題も変わる。地域に合った再生可能エネルギー導入をシミュレーションし必要な対策を練っておけば、より即効性の高い事業設計も可能になる。自治体には、そうした事業戦略を早急に策定することが求められる。弊社の地域経営塾では、連続講座で自治体の事業戦略の作成を支援する。弊社HPのPHP地域経営塾「地域経済活性化講座:再生可能エネルギー編」をご高覧願えれば幸いである。

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