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意外と見過ごされがちな昇進昇格のストレス

2017年03月29日 公開

マネジメント誌『衆知』

職場で活かす!上司と部下のストレス・マネジメント術

最近注目が集まる職場のストレス。臨床心理士で大学講師でもある植木氏が、心理学の知見と豊富な事例から、ストレスを職場の活性化に活かす術を説く。

植木理恵(うえき・りえ)
1975年大分県生まれ。心理学者。臨床心理士。東京大学大学院教育心理学科修了。日本教育心理学会において最難関の「城戸奨励賞」「優秀論文賞」を史上最年少で受賞。現在、都内総合病院心療内科でカウンセリング、慶應義塾大学理工学部教職課程で講師をつとめる。『好かれる技術』『人を見る目がない人』『シロクマのことだけは考えるな!』ほか著書多数。

 

ストレスの知識は職場の活性化に役立つ

職場のストレスチェックが義務化されてから一年ほど経ちました。働く人の「ストレス」の問題がマスコミでも大きく取り上げられ、経営者や管理職の方にも、部下のストレスに対応することが求められています。

各職場では、アンケート形式のストレスチェックが導入されています。こうしたチェックの結果は一つの指標にはなりますが、ストレスの状況や不調の状況が必ずしも明確にわかるわけではありません。

具合の悪い人というのは往々にして、まわりの人に気づかれまいと、元気にみえるように回答するもの。その反対に、よく眠っているのに、「よく眠れない」という質問項目に「そうだ」と答える人も結構います。臨床現場でみていると、逆のほうにチェックを入れて答える人は少なくない、というのが私の印象です。ましてや、職場でのチェックの場合は、「会社から変に誤解されたくない」と、あえて正しく記入しない(答えない)人もいるでしょう。

このようにアンケート形式のチェックは実態を正確に反映していないケースもよくあるので、ストレスチェックの結果に過度な期待は禁物です。

一番いいのは、ふだんから部下とよく話をすること。そうすれば、「なんだかおかしいな」と、部下の不調にも気がつきやすくなるものです。

仕事で失敗したなどマイナスの出来事があったときはわかりやすいかもしれませんが、意外と見過ごされがちなのは、昇進・昇格時のストレスです。

一般的に、昇進・昇格は、みんなから「おめでとう」と言われる喜ばしいことでしょう。でも、昇進・昇格をプレッシャーに感じてしまう人もいます。人間は、うまくいっている時ほど、失敗した時のことを考えてしまうもの。ストレスというのは、こうした喜ばしい出来事にも起こるのです。

心理学では、ストレスの大きさを地震になぞらえ「ストレス・マグニチュード」と呼んでいます。その大きさの度合いは、結婚や長期休暇、家族が増えるというような喜ばしい出来事の時にも高くなることが見受けられます。つらい出来事であっても喜ばしい出来事であっても、状況が変化する時には、人間はストレスを感じるようです。

昇進・昇格時は、実は、ストレスを感じやすく、うつ病になりやすい時期といえます。昇進・昇格をする部下には、ふだんよりも少し気をつけてあげたほうがいいでしょう。

ストレスについて関心を持ち、知識を身につけておくことは、部下の不調を予防することに役に立ちます。と同時に、ストレスの知識は、部下のモチベーションを高めたり、職場を活性化させたりするためのヒントにもなるのです。

 

※本記事はマネジメント誌『衆知』2017年1-2月号掲載「職場で活かす! 上司と部下のストレス・マネジメント術」より、その一部を抜粋編集したものです。

経営・マネジメント誌「衆知」

特集「感動を生み出す」

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発売日:2017年10月27日
価格(税込):1,080円

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