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社員を守り抜くのが経営者の務め~塚越寛・伊那食品工業会長

2018年01月19日 公開

マネジメント誌「衆知」PHP言志録


 

いい人を育てる会社が増えれば、日本は必ずよくなります

「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という二宮尊徳の言葉があります。私も、会社にとって道徳心は不可欠であり、社員にも社会人としてのモラルを身につけてほしいと考えています。

社会人としての最低条件は、人に迷惑をかけないこと。さらに、少しでも人の役に立てるように努め、人をどれだけ幸せにしたかが求められると思います。

アメリカのコンサルティング会社ビートラックスのCEOであるブランドン・ヒル氏によると、「この地(シリコンバレー)で起業する人が最も重要視しているのが世の中の問題の解決だ。その次にユーザー(顧客)のメリット。お金もうけの順番は最後に来る」そうです(『日経産業新聞』2016年12月27日付)。

また、生涯において約500社もの企業の育成に関わり、「日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一は、「その事業がどんなに小規模であって、自分の利益が少なくても、国家に必要な事業を合理的に経営するなら、心は常に楽しんで仕事ができる」と論じています(『現代語訳 論語と算盤』〈守屋淳訳、ちくま新書〉)。

以上、三人の言葉に共通しているのは、自分の金もうけや利益を第一に考えると、本質を見失ってしまうということです。

赤字に陥ると、社員をリストラする会社がよく見受けられます。利益のためとはいえ、そういったやり方が社会のモラル低下を招いているのは確かであり、その責任は重いといわざるをえません。

経営が行き詰まる原因は、経営者が「本来のあるべき姿」を見失ってしまっていることではないでしょうか。経営における「あるべき姿」とは、「社員が幸せになるような会社をつくり、それを通じて社会に貢献する」ことです。

当社には、「伊那食ファミリー」という言葉があります。会社を家庭と考えれば、わかりやすいと思います。社員は家族です。食べ物が少なくなったからといって、家族の誰かを追い出して、残りの者だけで食べるということはありえません。

会社も同じです。家族の幸せを願うように、社員の幸せを願うことが大切です。

経営者は、なにがなんでも自社の社員を守り抜くことを肝に銘じなければなりません。経営者が社員の幸せを考えれば、社員も会社を大切にしてくれるでしょう。その結果、モラル(道徳心)やモラール(やる気・士気)が高まり、生産性が向上し、利益が拡大します。会社は、木の年輪のように、毎年少しずつ成長していきます。その木の幹こそが社員であり、それを基軸にした経営を実践することが大事ではないでしょうか。

会社は社員の自己成長の場所であり、社員の成長の総和が会社の成長です。そして、社員一人ひとりの幸せの総和こそ、企業価値なのです。

いい人を育てる会社が増えれば、日本は必ずよくなります。会社を「社員にとって大切な場所にする」ことが、経営者の務めです。

経営・マネジメント誌「衆知」

特集 若い力を育てる

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発売日:2017年12月27日
価格(税込):1,080円

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