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二度とない人生、いつも「自分のため」だけに生きていてよいのか

2018年02月26日 公開

横田南嶺 × 鍵山秀三郎

※本記事は、横田南嶺・鍵山秀三郎著『二度とない人生を生きるために』より、一部を抜粋編集したものです。

横田南嶺、鍵山秀三郎
 

何のために坐禅と掃除をするのか

「どうしたら人が喜ぶのか、どうしたら人の役に立つのかに自然に気づいて行動する人になってもらいたい。そのために掃除が何より大きな力を持っている」

鍵山秀三郎(写真右)
かぎやま・ひでさぶろう。1933年、東京都生まれ。1952年、疎開先の岐阜県立東濃高等学校卒業。1953年、デトロイト商会入社。1961年、ローヤルを創業し社長に就任。1997年、社名を「イエローハット」に変更。相談役を経て、現在はNPO法人「日本を美しくする会」相談役。

「自分の中に分け入って、真実の自分に気づくために坐禅がある」

横田南嶺(写真左)
よこた・なんれい。1964年、和歌山県生まれ。筑波大学在学中に出家得度し、1987年、卒業と同時に京都建仁寺僧堂で修行。1991年、円覚寺僧堂で修行、1999年、同堂師家を経て、2010年、臨済宗円覚寺派管長に就任。2017年、花園大学総長就任。

 

不幸な人が多い国は不幸になる

このまま行くと、日本の未来は悲観的にならざるを得ないと考えています。なぜかというと、不幸になりそうな生き方をしている人がひじょうに多いからです。

たとえば、車で走っていて、車線を変更したくても、隣の車が絶対に車線を譲らない。手で合図をしても、知らん顔をして猛スピードで通りすぎていきます。とんでもなく意地が悪そうな、険のある顔つきの人にたくさん出会うのです。

いつも自分中心。自分さえよければ、他人なんてどうでもいいという人が多く、ひじょうに自己中心的です。そういう生き方をしていると、必ず将来不幸になります。不幸な人が世の中に増えていくと、その国がよくなるわけがありません。

企業でも、社員の人格を形成していくことをやっていかなければいけないと思っています。ただもうけるだけ、経済一辺倒だったら、誰がやってもできます。私はつねづね企業には高い経済性、広い社会性、深い人間性の三つがなければダメだと思っています。人間性の伴わない企業の社員が心を病んでしまうのは当然です。

経済性と人間性の両方を追求していかなければ、企業を経営する意味はないのではないでしょうか。

仏教でいう「快楽を抑えて本当の自分を見つける」というのは、企業にも当てはまります。快楽とは企業にとっては利益ですが、それだけを求めていくと、企業の本質を見誤ります。

企業の中で、経済性を追求しながら、社会性と人間性も求めていくにはどうしたらいいか。その答えが私の場合は掃除でした。

私が「掃除、掃除」と言い続けて徹底してきたのは、気づく人になってもらいたいからです。世の中には、損得に気づく人はたくさんいます。そうではなくて、どうしたら人が喜ぶのか、どうしたら人の役に立つのかに自然に気づいて行動する人になってもらいたい。そのために掃除が何より大きな力を持っていると考えたのです。

掃除をしているとさまざまなことに気づきます。たとえば、自分が掃いたあとに落ちた落ち葉はきれいです。でも掃かずにひと晩たって、昨日から落ちていた落ち葉は汚い。この違いがわからないようでは、人として鈍感です。

私は以前、松下政経塾に掃除の指導で行ったことがあります。あそこは森の中にあるので、掃いても掃いても落ち葉がたまります。するとある塾生が「全部落ちてからまとめて掃けばいいじゃないですか」と言ったのです。

私は「あなたは昨晩からの落ち葉と、あなたが掃いたあとに落ちた落ち葉との区別がつかないのですか? それが同じに見えるほど鈍感なら、あなたは人の上に立つ人間にはなれません」と言ったことをはっきり覚えています。

もし私が経済一辺倒だったら、私の会社はもっと大きくなっていたでしょう。でも、それではいけない。時間も費用もかかりますが、社員一人ひとりに掃除の意義を知ってもらって、人間性と社会性を身につけてもらいたい。そうしなければ、人として幸せになれないし、私が企業を経営する意味もないと思っています。掃除を通して人格を形成する。「これは私がやらなければ誰もやらない」という覚悟で始めたことが、今日まで続いているのです。
 

昨晩からの落ち葉と、掃いたあとに落ちた落ち葉との区別がつく人になる

自分の好きにふるまうのは欲望の奴隷にすぎない >

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