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公益資本主義と忘己利他の心~塚越 寛・伊那食品工業会長



2018年06月15日 公開

PHP言志録

経営
 

己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり

先般、トヨタ自動車の豊田章男社長が「公益資本主義」について話しておられました。企業のステークホルダーは株主だけでなく、顧客、社員、取引先、地域社会、そして地球まで含めたもので、企業活動を通じてその発展に貢献しなければならないということです。

私も、全く同感です。企業の成長が、ステークホルダー全体の利益にならなければなりません。目先の利益だけを追い求めて、コンプライアンス違反をしたり、社員をリストラしたり、中長期の研究開発費を削減すれば、企業の持続的発展は見込めないと思います。

当社は「年輪経営」を掲げ、業績は毎期黒字で無借金経営です。研究開発にも力を入れ、工場設備も環境に配慮しています。社是は「いい会社をつくりましょう」で、企業目的は「社員の幸せ」。私にとって会社は運命共同体、社員はファミリーなのです。

適正な利益はもちろんのこと、景気に左右されない確実な成長を毎年積み重ねる「年輪経営」を実践することで、地域社会の発展に寄与し、顧客や社会から求められる会社となるよう努めています。そんな姿勢が評価されたのか、最近はトヨタ自動車をはじめ多くの大企業が視察に訪れてくださるようになりました。

松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏も、次のように述べておられます。「企業は社会の公器である。本質的には特定の個人や株主だけのものではなく、その人たちも含めた社会全体のものだと思う」。これはまさに公益資本主義といえるでしょう。

持続可能な発展をするためには、公益資本主義にもとづいたブレない考え方が大切です。それは、「忘己利他」の精神ともいえます。「忘己利他」とは、比叡山延暦寺の開祖・伝教大師最澄の言葉です。

己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり(『山家学生式』)

「自分のことは後にして、まず人に喜んでいただくことをする、それは仏さまの行いで、そこに幸せがあるのだという言葉です。つまり我欲が先に立つような生活からは幸せは生まれないのだということです」(天台宗ホームページより)

己の欲望のみを追い続けていくと、心は不安になり、かえって不幸になってしまいます。逆に、他を利すれば、必ず己に戻ってくるものです。社会全体の発展に寄与することが、会社の成長につながるものだと信じています。 



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