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つらいなと思っても…松下幸之助が松下政経塾で語ったリーダーの心得

2018年09月04日 公開

松下幸之助

いやだな、つらいなと思っても、やらなければならないことがある。その、いわば「修行」を捨ててしまうのは、みずから「宝」を捨てることになる。

掃除を黙って休んだら、それは君の怠けになる。懈怠(げたい)は許さない。厳しいものがあるからな。そういうことをちゃんとやらなければ、なかなか身につかない、ほんとうは。「つらいなあ、きょうはいややなあ」と思っても、やらないといかんわけや。雨が降ろうが槍が降ろうがやるというところまで、強いものをもたないとあかんな。都合のいいときだけ出よう、天気のいい日だけ出ようというのであれば、修行にならない。

掃除をするということは、修行なんや。修行というのは、大切なものである。修行を捨てるのは、宝を捨てるのと一緒や。その怠け心は君、戒めないといけない。

無断で休んだら罰金くれよ、な。無断で1回休んだら、5千円なら5千円、罰金くれよ、ぼくに。ぼくの心が痛むということの、慰謝料や、まあ早く言えば。勝手に掃除をしなかったということを聞いたら、うれしく思わないもんな。「これは困ったことや、そんなことではたしてうまくいくかな」と、こう思うわけや。だから、心配させないようにしてくれよ。それでも心配しているんやからな。

すんだことは、もうしかたないから、これからは君、病気で熱があっても出るくらいの熱意がないといけない。37度が平熱やとしたら、37度5分ぐらいやったら出ないとあかんで。「よし、きょうは出よう。このぐらいの熱やったら大丈夫や」と思って出たら、5分くらいの熱も下がるわ。自分は義務を果たした、規則を守ったという安心感に、熱は引っ込む。いいかげんにやっていたら、また熱は上がりよる。そんなもんや、人間というのは。だから君、ほんとうにやらないとあかんで。絶対に休んだらあかん。もっともな理由があったら休んでもいいけれども、理由なしで休んではいけない。

一人が怠ったら、みんなが怠るようになってしまうわけや。みんなでやったら、いわゆる和というものが成り立つ。全体のためにも、少々無理をしてでも出ないといかん。ぼくは20歳のときに肺尖カタルにかかって血を吐いたけれど、仕事を休めなかった。叱られるから休めないのではなくて、食えなくなるからや。その時分は日給で、1日行ったら1日分の日給をくれる。今みたいに月給ではないから、休んだら貸金をくれない。休んだら食えなくなる。だから少々の熱があっても行ったわけだ。

それでも君、ぼくは85歳まで生きている。ほんとうなら当然死んでいたはずや。医者が「休まなあかん」と言うても反対して、医者の言うとおりにしないんやから。それでも病気は進まなかった。えらいもんやな、あれは精神力とでもいうのかな。友だちでも、ぼくより丈夫な人はみんな死んでしまって、ぼく一人だけ残った。おかしなもんやろ。

ぼくは、こんな体験をもっているんや。君、見たところ、病気でもないな。健康やな。だから何も心配いらない。やらないとあかんで。そんなことができないようでは、君、何もできへんで。大臣になって政治をよくするというようなことは、ましてとんでもないことやな。
 

※本記事は、『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』(松下幸之助:述/松下政経塾:編)より一部を抜粋編集したものです。

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